ワシントン条約事務局と国際刑事警察機構、共同で執行力を高めトラの密猟に立ち向かう

2009年12月4日

ジュネーヴ/リヨン/ジャカルタ、2009年12月4日  ワシントン条約事務局及び国際刑事警察機構はトラの生息国向け諜報訓練部会を11月30日から12月4日までジャカルタで開催した。これは、ワシントン条約事務局と国際刑事警察機構間の共同事業の一部であり、野生のトラの密猟や野生生物犯罪に対する取締の効力を世界中で高めるためのものである。

 5日間、バングラデッシュ、ブータン、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ネパール、ロシア連邦、タイ、ベトナムを含むトラの生息国から取締官16人が出席した。その目的は、野生生物担当の取締官、税関、警察の間で法の執行力を促進・調整することであった。

 1900年代初期にはトラはアジアの至る所に生息し、その数は10万頭を超えていた。現在の推定では、野生に残存するのは3500頭以下であることを示している。今日トラは主としてその毛皮のために密猟されているが、トラの体のほとんど全ての部分が、装飾あるいは伝統的な医療目的のために使われている。現在ほとんどのトラが狭い生息地域に閉じ込められ、幾つかの地域の個体群が文字通り絶滅の淵にある。

 密猟や密輸の多くが高度に組織化されていることに対して、国際刑事警察機構の環境犯罪プログラムのデビッド・ヒギンズ(氏)は、「多機関かつ多国籍の対応が必要であり、この種の対応を調整することが、国際刑事警察機構の<2番目の仕事>である」と述べた。

 こうした訓練は、生息地にいる野生のトラを保護するための国際的な努力を援助するという国際刑事警察機構の公約を表している。国際刑事警察機構の訓練の提供やシステム、そして国際的な法執行協力の促進に対する我々の力が、トラの生息国にいる野生生物取締に関わる参加者にとり非常に貴重であることを証明するであろう。」とヒギンズ氏は述べた。

 ワシントン条約の法執行部長であるジョン・セラー氏は、「この部会は参加者にとりすばらしい機会である。というのは、トラ生息国間の情報分析が重要であるという認識を高め、密猟や不法な取引に取締官が立ち向かうのに不可欠だからである。」と述べた。
 国際刑事警察機構の専門家により教えられる訓練は、犯罪の情報分析や、時宜を得て脅威の警告を与えたり、作戦行動や調査を支援したりする極めて重要な警察の手段を取り上げている。

 関連性があり、しかも正確な諜報や情報を取得するためには、様々な出所からの情報は、系統立てた手法やテクニックを用いて分析しなければならない。参加者は、特別な調査目的を達成することについての見解で、作戦的かつ戦略的な分析を実行するために必要なやり方の知識が与えられるであろう。
(翻訳協力 日原直子)

【JTEFのコメント】
*トラ生息国での取締は十分ではありません。国境を越えた違法取引の場合、各国の間での密な情報交換と取締活動上の協力が不十分なことが原因のひとつです。インターポールとワシントン条約事務局が本腰を入れてトラ生息国の協力体制作り、国境を越えたトラの違法取引事件の共同取締りのための情報分析テクニック向上に取り組むことを期待したいです。