トラの密猟者に禁固刑三年の宣告
ウッタラカンド州、ウダム・スィン・ナガル県、ハティマ地区の裁判所は、パニパットに住み、トッタ・ラムの偽名を持つ、悪名髙きトラの密猟者バーバルに禁固刑三年と1万ルピー(19734円 2月5日現在)の罰金を課した。これは2004年8月に体長12フィート(約3.6メートル)のトラの毛皮が押収されたことによるもの。
ウッタラカンド州東テライ森林局の役人は、2004年に、インド野生生物保護協会(WPSI)の協力のもと、ボンバサのトラの毛皮所持容疑で密猟団バワリヤの1人、トッタ・ラムを逮捕した。そのトラの皮を厳密に調べたところトラの皮に16カ所の銃弾の跡が見られた。これは、1972年に制定された野生生物保護法の下、ハティマ地区の事件として記録されている。
事件の精査後、民間判事のクルディープ・シャルマ氏はトッタ・ラムに有罪判決を下した。しかし最近になって、トッタ・ラムは再び、逮捕された。トラの皮を所持していた件で保釈中であったにも関わらず、オスジカの枝角やトラをしかける罠など密猟用の器具を持っていたからだ。
野生生物に関わる犯罪(訳注:密猟そのもの)が有罪になる確率は極めて低い。密猟者トッタ・ラムが有罪になったことは、この状況にメスを入れることになるだろう。「ウッタラカンド州の森林局が行った判決は有意義である」とインド野生生物保護協会(WPSI)会長のベリンダ・ライト氏は言う。
密猟団バワリヤはインド内の様々な地域で活動している。最近では、バワリヤの妹のディプロが、ウッタル・プラデーシュ州ピーリビート県の裁判所により1992年のトラの密猟事件で5年の禁固刑を宣告された。ディプロは2005年11月にもウッタル・プラデーシュ州ベヘラーイチ県の裁判所により有罪を宣告されている。同年2月にカテルニアガート野生生物保護区で殺されたトラの皮と骨を保持していたためである。
(翻訳協力 石塚信子)
【JTEFのコメント】
密猟はそのために組織化されたグループによって行われることも少なくありません。密猟の規模も大きくなって、組織犯罪を取り締まることも困難になります。政府が強い意志を持つこととパトロールするレンジャーへ、密猟団に対抗できる知識や装備を備えることが早急に必要です。毛皮などが押収された場合、それを所持すること自体もインドでは犯罪ですが、密猟の罪に比べると刑罰はずっと低いものです。しかし毛皮などを所持していたり、実際に密猟したことを裏付ける証拠が得られることはまれで、重い密猟の罪で処罰することは容易ではありませんでした。その意味でこのケースはとても重要です。またインドでよく問題になるのですが、保釈中の密猟団のメンバーが野生生物犯罪を繰り返すことが指摘されます。安易な保釈や裁判の長期化も解決されるべき点です。