マディヤ・プラデシュ州で、13ヶ月に19頭のトラが死亡
ボパール:ペンチ・トラ保護区のトラの死で、「トラ州」として知られるマディヤ・プラデシュ州では過去13ヶ月間に19頭のトラが死んだことになる。
「昨日、発信器付きの首輪をつけた7歳のトラが、ペンチ保護区のカルマジリ地域にある湖の中で死んでいるのが見つかりました」とK・ナヤク公園長はいい、「このトラが毒殺された可能性はないとはいえません」と付け加えた。
ナヤク氏によるとこのトラは1月25日に姿を見られており、健康だったという。毒物検査のために、内臓はサーガル地区研究所に送られた。ナヤク氏がこの日PTIに語ったところによると、トラの死体は検死解剖の後で廃棄された。検死では、腎臓が肥大化していることが判明したという。
ペンチ保護区では先月2頭の子トラが死亡したが、公式発表では厳しい寒さが原因とされている。
昨年マディヤ・プラデシュ州では、カーナ・トラ保護区とペンチのそれぞれ4頭、バンダブガル・トラ保護区の3頭を含めて、合計18頭のトラが死んだ。先日ペンチで死んだトラを数に入れると、この州のさまざまな保護区で17頭のトラが死んだほか、保護区外でも2頭が死んでいる、と関係職員は述べた。
森林局では、これらのトラの死は主に「トラ同士の縄張り争いと高齢が原因だ」と主張している。
インド国内に38あるトラ保護区のうち17は深刻な状況にあり、このままの状態が続けば、ラジャスタン州のサリスカやマディヤ・プラデシュ州のパンナのように、これらのトラ保護区でもトラが絶滅する可能性がある、とジェイラム・ラメシュ環境・森林大臣は話した。
大臣によると、状態のよいトラ保護区は9つに留まり、そのほかに12保護区は十分に管理できているが、改善の必要があるという。インドにおけるトラの個体数減少については「憂慮すべき」であり、トラの殺戮が横行しているのは残念なことだと述べた。また、「私たちはこのことを非常に重く受け止めており、これから3か月以内に、国内の3つの地域にインド政府国家トラ保護機関(NTCA)の地域事務所を設立するつもりでいます。そのうちのひとつはナグプールに置かれることになっています」と、明かした。
ラメシュ氏は、国内で60頭のトラが死んだ2009年を、インドのトラにとって「最悪の年」と呼んだ。2008年に死んだトラは35頭だった。「インドは、中国など近隣諸国へのトラの皮や骨の密輸で苦しんでいます」と、大臣は認めた。「中国では、伝統薬やその他の製品にトラを利用することが文化の一部になっている」とも指摘した。環境保全関係者にとっては、彼らの姿勢や態度は身の毛のよだつものだ。
連邦大臣は1月27日の晩、ナグプールでマハラシュトラ州のパタングラオ・カダム森林大臣と州森林官らを招いて会議を開き、プロジェクト・タイガー実施地域に住む家族への支援のために10億ルピー(約19億8500万円、1ルピー=1.985円 2010年3月7日現在)の充当を発表した。また、「この資金は次の会計年度中に支払われ、マハラシュトラ州のトラ保護活動の強化に役立つでしょう」と、付け加えた。
大臣はまた、この州の3つのトラ保護区であるタドバ、ペンチとメルガートに対するトラ基金の設立提案を支持した。
(翻訳協力 木田直子)
【JTEFのコメント】
昨年11月にペンチ・トラ保護区で視察していた時、ちょうど発信機から発するシグナルを追って来た国家トラ保護機関(NTCA)の研究者に会いました。すぐ側に発信機をつけたメストラがいるようです。私たちは姿を見ることはできませんでしたが、研究者の話では1頭のメスに発信機がついていて、あと2頭につける予定だと聞きました。あのときのメストラが死んでしまったのです。調査中だった大事な1頭が。
トラ生息国の中で最大の生息数を持つ国はインドです。そのインド内で最もトラの密度が高いのが、中央インドのマディヤ・プラデシュ州と隣接するマハラシュトラ州です。この地域環境を整備し密猟を止めることが、早急に必要です。今回、トラ保護のためにつけた多額の予算が、真にトラの保護に役立つことを祈ります。