マレーシアの先住民 トラの密猟に加担
ペタリング・ジャヤ
トラや野生動物の部位を手に入れるため、仲介業者が先住民のオラン・アスリを雇って密猟させているという報告が世界自然保護基金マレーシア(WWFマレーシア)からあった。
野生動物を保護し、先住民が仲介業者から付け込まれないよう、当局は取り締まりを強化しなければならないと、会長のディオニシウス・シャーマ氏は述べた。
シャーマ氏によると、密猟者の殆どは先住民であるが、動物の部位を売りさばいたり国外に持ち出したりする方法など知っているものはいない。
「先住民たちはわずかな報酬しかもらえず、仲介人が利益をむさぼっているのです。」シンジケートの正体は不明だが外国人とマレーシア人の組織に違いないと付け加えた。
「設備や人員の為の予算を増やさなければなりません。森林や保護区は広大な上、林業用道路があり、境界も侵入しやすいため簡単に入ることができます。われわれが保護しなければ、誰がしてくれるのでしょう」と述べた。
「野生動物の部位に対する需要が高いので、仲介業者やシンジケートが人を雇い、罠を仕掛けて殺しているのです」先週、ペラックでトラが撃たれ罠にかかったまま死んでいた事件について答えた。
先週の事件では、ヨック・メネーという先住民が野生の豆を採りにでかけたところトラに襲われ、石1個で闘ったらしい。トラの死骸はその翌日ペラックの野生動物国立公園局員が見つけている。
しかし、ペラック州の野生生物局長官、シャブリーナ・シャリフ氏が水曜日APに語ったところによると、実際にはヨネック・メネーはトラを罠にかけ、殺そうとして襲われた7人のグループの1人だった。
残酷な殺戮:ブキット・タパー森林保護区において先住民を襲った場所から100メートルほどの地点で見つかった銃と吹き矢の傷を負ったトラの死骸。
左前足はもぎ取られ罠にかかったままだった。
マレーシアトラ保護連盟(MYCAT)のプログラム・コーディネーターのロレッタ・アン・シェパード氏は、罠を仕掛け銃殺した者たちだけではなく、裏で命令している人々すべて本件に関与した者たちへの厳重な処罰を要求している。
先住民が本当に野生動物に罠を仕掛け、殺した当事者だとすると、彼らは告訴されるべきだとシュパード氏は述べる。
「そうすれば当事者には戒めとなり、他の者への見せしめにもなります。寅年を迎えるときにこのようなニュースはふさわしくありません。先住民には動物の狩猟は許可されていますが、トラは含まれていません。トラを殺すことは不法だということは分かっているはずです。他の動物も捕獲して殺したことがあるという報告があるので、彼らは素人ではありません」と付け加えた。
(翻訳協力 石原洋子)
【JTEFのコメント】
マレーシアは野生トラの個体数を2倍の1000頭に増やそうという壮大な目標を立てています。そのためには生息地の保全と密猟者たちとの戦いを徹底することです。このニュースで言われているようにわずかなお金のために密猟した先住民を厳重に処罰すれば、今後の犯罪予防の効果があるはずです。
1950年代には3000頭いたマレーシアのトラも、農業用の開墾が進むにつれ減少し、60年後にはわずかその10分の1、300頭ほどになってしまいました。この個体数を守り自然に増加するように環境を整えなければ、マレートラは地球上から姿を消してしまうでしょう。