中国の動物園で動物の集団墓地を発見

Times Online 2010年3月30日

 中国の新聞が伝えるところによると、虎骨酒の製造目的でアムールトラを飼育している動物園があるとのことだ。
ジェーン・マッカートニー、北京にて

 栄養不良で死んだ30体もの動物の死骸が中国の動物園近くの集団墓地で発見され、その中には絶滅危惧種であるホワイトタイガーやホワイトライオンも含まれていた。

 数週間前には別の動物園で12頭のトラが栄養不足で餓死し、禁止されている貴重な虎骨酒を製造するために、行政関係者によって動物の体の一部が取りだされていたのではないかとの疑惑が発覚したばかりだ。

 中国北東部黒竜江省にあるハルビン北方森林動物園の近くに深さ3メートルの穴が掘られ、大量の動物の骨や死骸が雪から飛び出している。

 動物園のスタッフが中国人レポーターに語ったところによると、その中には2008年に死んだホワイトタイガー2頭、ホワイトライオン5頭、ヒョウ2頭、その他の大型ネコ科の動物が5頭含まれているという。

 集団墓地にはその他にもアジアゾウが3頭、絶滅危惧種のノガン29羽のうち28羽が埋められているようだ。

 動物園関係者によると、動物園の経営不振を受けて2007年に施行された飼育方法の変更後、動物が相次いで死んでいるという。ヒツジ肉や牛肉が鶏肉に変わり、中には肉の替わりにトウモロコシのパンを与えていたこともあるらしい。

 動物園の飼料担当部署の副責任者チャン・シンリュウ氏は、新しい飼料に変えてから最初の1ヶ月半は動物に何も変化は見られなかったと説明した。

 6ヶ月を過ぎると動物の体重が大きく減少していることが分かり、2008年には大型ネコ科の動物が14頭も死んだため、ヒツジ肉や牛肉の飼料に戻したが、長期間の粗末な飼料がたたり、栄養状態は回復しなかったもようだ。

 動物園の別のスタッフの話では、動物の80パーセントは豆饅頭から蛋白質を摂取しているが、饅頭にしても十分な品質を確保するのは困難になってきているという。

「そんな餌を毎日食べているため、殆どの動物はやっと生きながらえている状態で死ぬのも遠いことではない」と付け加えた。

 動物園の資金不足はかなり深刻で、中国でもっとも貴重と考えられている金糸猴(きんしこう)でさえも、必要な6種類の果物が与えられず、質の悪い3種類の果物しか与えられていない。

 動物園では火葬炉を建てる予算がないため死骸を穴に埋めざるを得なかったと動物園幹部は言う。また、墓地は定期的に消毒しており、動物たちは病気や老化による自然死だったと続けた。

 今月はじめ、絶滅危惧種のアムールトラを13頭餓死させた中国東北部にある瀋陽の動物園が閉園に追い込まれた。ある新聞は、精力剤として中国で珍重される虎骨酒の製造のためにトラが利用されたのではないかと報道している。

 中国人ジャーナリストがこの疑惑を裏付けるレポートを伝えている。彼は虎骨酒の不法販売を調査するため、1000頭以上の虎を飼育しているハルビン・シベリアトラ公園に潜りこんだ。

 すると、虎の骨入り虎骨酒は一瓶2800元(280ポンド)(38,486円、1元=13.75円/2010.5.2)、虎骨無しは一瓶780元(78ポンド)(10,721円)でどうかと言われたという。虎骨酒がにせものではないかと動物園従業員に尋ねると、「どうしてにせものを売る必要があるのか」と答えたという。
(翻訳協力 石原洋子)

【JTEFのコメント】
虎骨酒やトラの身体各部を使った漢方薬、精力剤は中国系社会でいまだに需要が多く、インドなどではそのための密猟があとをたちません。トラファームの目的も虎骨の供給だと言われています。虎骨利用は中国内でも取引禁止ですが、法律は守られていません。餌を十分に与えないなど個体の扱いもひどく、衛生上も問題です。管理が不十分で違法販売が発覚しているファームは即刻閉鎖すべきです。