虎骨酒が明らかにする中国の動物園を揺るがす新たなスキャンダル
新聞記事その1
昨日、中国北東部の動物園で「虎骨酒」の密輸が行われていたことが明らかになり、中国の動物園の怠慢に対する疑問の声が更に高まっている。
今月始めに中国全土で沸き起こったスキャンダルは、飼育されていた11頭の希少なシベリアトラが餓死したことがきっかけであった。
黒竜江省にある東北虎林園の中心部には巨大な水槽があり、そこでトラの骨が液体に浸けられていた。
地元ニュースサイトによると、園の担当者はこの液体を1ボトルあたり2,880人民元(39,659円/5月3日)で販売したという。
最も安いものでも1ボトルあたり780人民元(10,736円/5月3日)で販売したと、園の職員は述べた。
ほんの僅かな銀色のトラの骨が最高級の醸造物であり、「骨を強くする奇跡の薬」として販売されていたと、園の従業員は述べた。販売業者は、トラの骨は最低でも3年は液体に浸けてあり、リウマチの治療に特に効果があると保証した。
この園では容易にトラの骨を入手できたため、この醸造物は本物であると従業員は述べた。また、トラの骨は夏になると売れ行きが良く、主に中国南部からの顧客に販売されていたとも述べた。
1993年以降、トラの骨の取引は中国全土で禁止されているが、漢方薬や強壮剤として使用されることがある。
動物園における動物虐待は、瀋陽森林野生動物園でのシベリアトラの死がきっかけとなり知られるようになった。
このシベリアトラの死をきっかけに、中国で飼育されている動物の劣悪な飼育環境に対する議論が白熱した。
11頭のトラは財政資金の配当に向けた“有利な交渉材料”として故意に餓死させられたと、関係者は述べた。
今年が中国の旧暦で寅年にあたることから、このシベリアトラの惨劇はとりわけインターネットを利用する市民の間で高い注目を集めた。
黒竜江省の別の森林野生動物園では大型の絶滅危惧種の死体でいっぱいになった巨大な墓穴が発見されたが、2004年以降、この園ではコスト削減のための「飼料改善プログラム」として象、猿、トラには鶏の骨や大豆が餌として与えられていた。
新聞記事その2
CCTVの記者が虎骨酒について聞くためハルビン東北虎林園を訪ねたところ、製品を見せるので敷地内へ来るようにと言われた。到着すると、女性職員は虎骨酒など無いと述べた。そこで記者は事務所に押し入り、虎骨酒のボトルを発見した。ボトルは、全て「虎骨酒」と表示されていた。どのボトルにも、製品のライセンス番号や詳細は表示されていなかった。この一部始終はビデオに録画された。この後、記者は国家林業省に通報したが、当局者が到着した時には園のマネージャーがボトルの入った箱を既に別の場所へ移していた。記者がその日の早朝に見て映像にも収めていた虎骨酒について尋ねたにもかかわらず、マネージャーは全てを否定したのだ!虎骨酒の販売場所では、中心部に板で塞がれたタンクが置かれていた。後で国家林業省がその板をはがし、酒に浸けられた動物の骨を発見した。発見された骨のサンプルは、どの動物のものであるかを特定するために研究室へ運ばれたという。
(翻訳協力 松村理沙、平野洋子)
【JTEFのコメント】
野生のトラ個体数以上の5000頭を飼育している中国のトラ・ファーム。トラ・ファームの目的が虎骨をとることだということが露呈しました。野生のトラを捕獲すればファームで飼育する餌代もかからず、さらに野生を好む多くの需要から虎骨が高く販売できることは誰でもわかることです。効能も科学的に全く証明されていないのに、このままではトラは絶滅してしまいます。
国際トラ保護連合(The International Tiger Coalition)の一員であるJTEFは、世界のNGOと共に中国政府へ繁殖施設のトラの商業利用への反対声明を出しました。