What's New

農林水産省生物多様性戦略に対して意見を述べました

 農林水産業のあり方は、生物多様性に大きな影響を与えます。そのため、国が農林水産業の振興にあたって、生物多様性保全にどのように配慮するかが大きな意味を持ちます。
 国の施策全体については、生物多様性の保全とその構成要素の利用に関する「生物多様性国家戦略」があります。昨年10月、名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において、生物多様性の保全に関する今後の世界目標となる戦略計画2011-2020・愛知目標等が決定されたことを受け、来年の秋までには見直される予定です。この国家戦略は「生物多様性基本法」に基づき、関係省庁のすべてが策定に参加し閣議決定されるものです。当然、農林水産省も参加しているのですが、同省に限っては、全体の国家戦略策定前に、自省の行政分野だけに限った戦略を先取り的に策定することにしているようです。この自前の戦略が「農林水産省生物多様性戦略」で(現戦略:平成19年7月策定)、その案についてパブリックコメントが求められました。
>パブリックコメント募集ページを見る

 この自前戦略の内容がほぼそのまま国全体の戦略の中に入ることになるのでしょう。先に自前戦略が決まってしまうので、農林水産業関係の戦略については、その後国家戦略の案全体に対してパブリックコメントを出しても、反映の余地はほとんどないと思われます(この点には問題があると思います)。
 JTEFは、イリオモテヤマネコ保護基金の活動としてその生息地保全に関わっていますし、絶滅危惧種を保全する法制度に対する提言もしています。その視点から、コメントを出しました。

 コメントの一番大きなポイントは、次の2点です。
 ・農水省戦略では、過去、農地整備が生物多様性喪失の原因になることもあったとしながら、今後、農地整備による生息地への悪影響を回避するための対策についてまったくふれていない。しかし、(区画整理や農道整備をする)土地改良事業など、生息地保全に十分な配慮をして計画することが明示されなければならない
 ・(水田環境に適応している生物の存在を前提に)耕作放棄は生物多様性の喪失をもたらすので耕作放棄地は生物多様性保全のために必要だというが、常にそうというわけではない。耕作放棄によって湿地化することで生息環境が改善される場合もある(イリオモテヤマネコについてもそのような場合が多く見られます)。

←土地改良されたところ

 >「農林水産省生物多様性戦略パブリックコメント」


現地パートナーリンク集リンクのお願いお問い合わせ個人情報保護方針