ブログ:ワシントン条約CoP18(8月17~28日:ジュネーブ・スイス)は、日本を次回会議までに市場閉鎖に追い詰める決定を採択!

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2016年のCoP17で採択された国内象牙市場閉鎖決議。それは、「密猟または違法取引の一因となる」国内の合法象牙市場を閉鎖するよう勧告するもの。今回のCoP18では、ケニアら9か国が、アフリカ32か国から成るアフリカゾウ連合支持のもと、決議の「密猟・・・となる」との文言を削除、すべての市場を閉鎖するよう求めた。年間2万頭レベルの象牙目的の密猟は近年も続いている。そのような中、本来はCoP17後真っ先に市場閉鎖しなければならない日本が、条約の目的との整合性を明示して全会一致をはかるために追加した文言を逆手に取り、自国の市場は「密猟または違法取引の一因とな」っていないから決議の対象でないと開き直っている。そのようなふるまいを放置しては、条約決議が骨抜きになるという切迫した危機感の表れだった。一方、この提案は条約が規制している「国際」取引との関連なしに、国内販売を各国に強制するというかなり大胆なもので、世界の国内象牙市場閉鎖を推進すべきだと考えている国々も、ややとまどった。

21日の審議当日は、国内象牙市場閉鎖を進めるべきだという雰囲気が圧倒しつつ、条約との整合性を気に掛ける意見も少なくなかった。日本は猛然と提案へ反対し、条約は国際取引を規制するだけであって、無条件に締約国の国内市場閉鎖を求めることは条約が対象とする範囲を超える、すべての市場が密猟または違法取引の一因となっている証拠はないと主張した。そして、日本の税関がわずかな量の象牙の密輸入しか差し止めていないのだから、日本の市場が密猟にかかわっている証拠は存在しないのだとも開き直った。さらに、そもそも野生生物は持続的に利用すべきものだとして、象牙の合法取引継続への意欲むき出しの熱弁をふるった。これに対して、リベリアが反発し、未だに国内象牙市場を閉鎖していない国の側こそ、違法取引等の一因となっていないことの証明責任を負うべきではないかと反論する場面もあった。
この状況を打開したのは米国だった。議案で提起されている問題を解決する方策としては、現行の決議の実施に焦点をあてるべきだとして、対案を提案。それは、国内象牙市場閉鎖決議の内容は現行どおりとする一方、未だ市場閉鎖しない国に対し、その市場が「密猟または違法取引の一因」とならないことを確実にするために執る措置について、来年以降開催される常設委員会(3年毎にしか開催されない締約国会議から委任された事項の意思決定等を行う。)に報告するよう義務づけるものだった。結局、この対案が若干の修正のうえ、全会一致で採択されることになった。
今回採択された決定によって、日本は、これまでのような言いっぱなしではなく、「現に」市場が密猟の一因にも違法取引の一因にもなっていないことの説明責任を負わされたことになる。その場合、日本にとって特に致命的なのは、近年、日本のオープンな市場で買い求められた象牙が外国へ頻繁・大量に密輸出され、中国等の税関で続々と押収されているという厳然たる事実である。結局、常設委員会は、CoP19に対し、日本市場が「密猟又は違法取引の一因とならないことを確実にするため」の措置が執られていない、と報告するしかなく、そのうえで日本に市場閉鎖決議を遵守させるための何らかの措置を決定するよう勧告することになるだろう。これを受けたCoP19は、今度こそ、日本を名指しにした具体的な決定を行うことになろう。ゾウは象牙のために日々犠牲になっている。日本政府は、見苦しい抵抗の末に外圧に屈するのではなく、自らの手で緊急に国内象牙市場を閉鎖しなければならない。新しい環境大臣の英断に期待したい。

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