プレスリリース:違法な海外持出しに我関せず 象牙印を進んで販売する ハンコ店
https://www.jtef.jp/wp/wp-content/uploads/2020/12/Naganohanko-1024x1018.jpg 1024 1018 Japan Tiger Elephant Organization Japan Tiger Elephant Organization https://www.jtef.jp/wp/wp-content/uploads/2020/12/Naganohanko-1024x1018.jpg東京―日本のハンコ店調査の結果、その多くが購入後海外へ持ち出されることになると知りながら象牙印を進んで売ろうとしていることが暴き出された。しかも、ほとんどの業者が象牙印を輸出することが違法であることを知っていた。環境調査エージェンシー(EIA, ワシントンDC)とトラ・ゾウ保護基金(JTEF)による新しいレポート「違法な海外持出しに我関せず 象牙印を進んで販売するハンコ店:印章小売業者に対するスナップショット調査」は、この象牙印を販売するハンコ店に対する2つの調査の詳細を報告するものである。
2020年の夏と秋に実施された2つの調査で確認された重要な点
- 3つの大都市圏における調査では、2018年の調査時に顧客の海外持出しの意図を知って象牙印の販売を拒絶していたハンコ店の38%が、2020年には同条件のもとで販売の姿勢に転じていた。
- 同じ調査の中で東京についてみると、同じく39%のハンコ店が販売に応じるよう態度変更していた。
- 3大都市圏を除く全国における調査では、91%のハンコ店が、購入後海外へ持ち出されることになると知りながら象牙印を売ろうとした。
多数の象牙印小売業者が、その輸出が違法と知りつつ、なおも海外持出しを意図する顧客に象牙印を販売しようとする実態は、日本政府による象牙の違法輸出に関する普及啓発キャンペーンが失敗に終わっていることを示している。
「象牙販売自体が合法であって、違法輸出に関する法的責任を顧客に転嫁できる限り、熱心な顧客をつかむ機会を得た多くのハンコ店は、違法輸出防止への献身的な協力などというものは歯牙にもかけません。」とJTEF事務局長坂元雅行は話す。
調査員との会話の中で、あるハンコ店は、こう述べていた。「売るのは大丈夫です。これをお客様が海外へ持ち出した時点でうちの会社は責任を負いませんと。・・・うちらのハンコの組合では外国人に売らないようにしたほうが安全だよね、ということになってます。・・・その後はお客様次第ですけど、うちらは象牙扱っているものとしてそれは禁止ですよってお伝えするということです。」
EIAの上席政策アナリストのエイミー・ゼツ・クロークは次のように述べる。「EIAは、2018年以来、日本発中国着のものだけで70件以上の象牙押収を確認しています。ほとんどのケースで、日本ではなく中国の税関によって違法な象牙が発見されていました。日本当局は、国内象牙市場を閉鎖したうえで、違法輸出の予防、発見、防止をもっと徹底すべきです。」
WWFとGlobescanによる中国観光客による象牙消費に関する研究報告は非常に懸念されるものであった。日本への旅行前に象牙の購入を計画した者は19%に達し、実際に日本を訪れた際に実際に象牙を購入した者が12%に達したと推定されている。これらの象牙消費者は、2018年1月に象牙取引禁止が発効している中国にこの象牙を持ち帰っているのである。
先週、TRAFFICが公表した新しい調査結果では、オンライン小売大手ヤフーが2019年11月に象牙販売を停止した後、そのプラットフォーム上での象牙取引が一掃されたことが明らかにされた。TRAFFICは、日本政府に対してトップダウンによる象牙市場閉鎖を実施し、違法な象牙の国際取引への関わりを断つよう既に求めていたが、今回も繰り返しこの点を訴えている。
坂元は、次のように述べる。「我々のスナップショット調査の結果は、ハンコ店が、海外へ持ち出されると知ってなお象牙印を売ろうとすることへの懸念を提起しました。これまで日本政府は、違法輸出の防止について、民間業者の法令と条約遵守への自主的な献身に依存してきました。しかし、小売業者は合法である限り、当たり前のように象牙印を売って利益を上げてきました。それが現実です。」
「東京が日本の象牙取引の中心地であることはほぼ疑いなく、登録象牙業者の店舗等の18%がここに集中しています。国際都市として、とりわけ2021年に日程変更された2020年東京大会でビジターを迎えるホストとして、東京は象牙取引禁止を実行するための積極的な措置を講じ、先行事例を作らなければなりません」とクロークは述べる。
「東京都の『象牙取引規制に関する有識者会議』は、国内の象牙取引規制を検証し、象牙の違法取引対策を提案することを任務として2020年に設置されました。これは、東京都内における象牙販売禁止の実施を推進するための、またとない機会です」と坂元は述べつつ、「日本からの違法輸出が、象牙の違法な国際取引問題に寄与し、さらには悪化させていることは明らかです」と結ぶ。
2016年、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の締約国は、密猟または違法取引の一因となる国内象牙市場を緊急に閉鎖することに全会一致で合意した。
EIAとJTEFは、日本政府に対し、国内象牙市場を閉鎖し、象牙取引とその輸出を禁止する法令を厳格に執行することを求めている。
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