ブログ:世界ゾウの日2021を迎えて

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今年は、昨年にも増して深刻な新型コロナウイルス(デルタ株)蔓延下で「世界ゾウの日」(2021年8月12日)を迎えることになってしまいました。このような中ですが、JTEFは現地パートナー WTI(インド野生生物トラスト) に協力して、懸命にゾウの生息地で保護活動を行っています。

「ゾウの生息地のつながりを維持し、ゾウが自由に移動しながら安定して暮らせるようにする。」それがJTEFFとWTI(インド野生生物トラスト)が、南インドのケララ州で進めようとしているプロジェクトです。これまで新型コロナウイルスのためにプロジェクトが開始できませんでしたが、2020年8月にWTIとケララ州森林局との協議が始まり、10月には2度目の協議が行われました。その結果、WTIとJTEFがターゲットとする2つの個体群の移動ポイントのうち、まず6,500頭のゾウからなる第1個体群が移動するために必要な、ワヤナッドと呼ばれるエリアのコリドー確保に乗り出すことをケララ州が了解しました。

このエリアで未だ手が付けられていないコリドーは3つですが、まず、一番東側(図では右側)の「第1コリドー」内に自動撮影カメラを取り付け、ゾウの移動状況のモニタリングを始めました。1月時点では残念ながらゾウは撮影されませんでした。この第1コリドー保護の課題は、そこにコーヒー農園ができていて、ゾウの移動を妨げている点です。WTI/JTEFはこのコリドーの重要性について調査し、ケララ州にこの土地を買い取ってもらうことを目指しています。

真ん中の「第2コリドー」の課題は、コリドーのど真ん中に村ができてしまっていることです。ゾウなどとのトラブルが起きていて、村人自身の暮らし向きはよくありません。そこで、かつてアッサム州でも行ったように、話し合いで村をコリドー外に移転してもらうことを検討しています。ここでもモニタリングを開始しましたが、4月にトラが撮影されました。ゾウではありませんが、このコリドーが動物たちにとってどれほど重要かは改めて明らかになりました。モニタリングは今後も継続していきます。

ワヤナッド エリアで活動する森林局の「監視員」と呼ばれる臨時スタッフは、現場を実際にパトロールし、密猟、盗伐、森林火災などに目を光らせる重要な存在です。ところが、そのための装備やトレーニングがいきわたっているとはいえないのが現実。そこで、監視員たちにパトロール装備を送り、ゾウなど野生動物の保護、調査、パトロール技術などに関するトレーニング・ワークショップも開催しました(2021年2月6日; 56名参加)。

森林局監視員へのフィールド装備提供

ケララ州では、新型コロナ蔓延の第2波で5月初めには1日で4万人もの感染者を出し、6月7日現在でロックダウンが延長されている厳しい状況です。しかし、ここでご報告したように、最大限の活動を試みていますので、今後ともご支援お願いいたします!