オリパラは終わった。都内の象牙市場閉鎖に集中的な取組みを。ー小池東京都知事に要望
https://www.jtef.jp/wp/wp-content/uploads/2021/10/68ab4dccddc5f2c721ca053b2f760b89.jpg 660 588 Japan Tiger Elephant Organization Japan Tiger Elephant Organization https://www.jtef.jp/wp/wp-content/uploads/2021/10/68ab4dccddc5f2c721ca053b2f760b89.jpg世界のNGO31団体の連名で、東京都知事に対して、東京都議会で制定される条例によって、東京都内におけるほとんどの象牙の販売を禁止するための措置をとることを求める要望書を送りました。
2021年10月7日
〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1
東京都政策企画局総務部秘書課気付
東京都知事 小池百合子 殿
拝啓
2020オリンピック・パラリンピック競技大会が成功裏に開催されましたことにお祝いを申し上げます。また、新型コロナウイルス蔓延にかかわる数々の課題に対し、知事が不断の努力を傾けられていることに敬意を表します。さて、東京2020大会が終了したこの時点におきまして、私たちは、日本と東京に対して、世界規模の重要事項に焦点を当てられるよう改めて求めます。すなわち、アフリカゾウを保護するための、東京都による象牙取引政策および違法な象牙取引を排除する措置の確立についてです。
「象牙取引規制に関する有識者会議」が2020年1月に設置された際、私たちは、東京が日本政府よりも踏み込んだ対処を目指す方向にあるとの希望を持っておりました。しかし、その会合が新型コロナウイルス蔓延のために数度にわたって延期された末にようやく東京都が発表した2021年6月の措置は、内容が乏しく、極めて失望させられるものでした。東京2020大会の開催は、圧倒的な国際的関心を集め、東京がゾウを守るために象牙市場を閉鎖せんとするメッセージを力強く発信する重大な機会でした。しかし、東京はその機会を逸してしまったのです。
東京都が、象牙製品の小売業者に対して輸出の違法性について教育するという「新しい」キャンペーンは、この問題に取り組むために必要とされる最低限の手段にも程遠いものであって、その本質は過去に国が実施した普及啓発キャンペーンの焼き直しに過ぎません。環境調査エージェンシー(EIA)とトラ・ゾウ保護基金による調査は、多くの象牙小売店が、象牙輸出の違法性を知りながら、それを海外へ持ち出すことがわかっている顧客に象牙製品を売ろうとしたことを証明しました。その他にも、ワイルドエイド(WildAid)とトラ・ゾウ保護基金による調査の結果は、東京の象牙取引業者が中国人顧客をターゲットにしていることを明らかにしています。中国における象牙需要が減少しつつも根強く残っていることを考えれば、これら把握された事実は極めて憂慮すべきものです。WWFとGlobescanの調査によれば、日本への中国人旅行者の19%が象牙を購入することを意図して来日し、推定12%が、ほぼ母国へ持ち帰ることが違法だと知りつつ、これを実行していました。東京へのインバウンド旅行者の中国人旅行者の占める割合の高さを考えれば、抜本的な対策の実行が緊急に求められます。
30を超えるNGO, 保全生物学および法律の専門家、様々な外国政府およびそのメンバーを含む数多くのステークホルダーが、東京に対して象牙の国内市場を閉鎖するために行動するよう訴えてきました。東京2020大会が開催される中、元米国国務長官であるヒラリー・クリントンとジェームズ・ベイカー3世の両氏は、連名で東京都に親書を送り、次いでワシントン・ポストに波紋を呼ぶ意見を投稿、日本はいよいよ象牙販売を止め、グローバル・リーダーとしての名誉を守るべきだと訴えました。脅かされるゾウの生息国であるアフリカ諸国、たとえばアフリカゾウ連合からも同旨の訴えが相次ぎましたが、その要望は無視されてきました。東京都の有識者会議の何人かのメンバーも、東京は都内における市場閉鎖に向けた手段をとることができるし、とるべきであると提案してきました。
国際的な影響力を持つステークホルダーの訴えにもかかわらず、これまでのところ、東京と日本はその意を酌んだ行動をほとんどとっていません。新型コロナウイルス禍で多くの事が保留になる一方、密猟者たちが活動を止めることはなく、ゾウは象牙の需要に応えて違法取引に供される象牙の供給のために殺され続けています。国際自然保護連合(IUCN)は、アフリカのゾウに対する絶滅の脅威のレベルを上げ、アフリカサバンナゾウは「高い」から「非常に高い」と変更され、アフリカシンリンゾウはこれとは別種とされるとともに、脅威のレベルは「極度に高い」とされました。ゾウをその牙の取引から守るための緊急の行動は、優先事項として残されたままです。他の国および地域はその象牙市場を閉鎖するための措置を継続して講じています。例えば、シンガポールの禁止措置は今年の9月に発効しています。イスラエルも最近市場閉鎖のための厳しい措置を実行しました。合法市場は、違法な象牙の取引の隠れ蓑となり、需要を刺激し、法執行と普及啓発を無力化し、象牙は望ましい製品であるというメッセージを発信するという意味で問題なのです。これとは対照的に、市場の閉鎖は、象牙製品の販売は世界のどこでもタブーである、という明確なメッセージを発信することになります。
東京2020大会が終了したこの時点で、私たちは知事と東京都に対して、次のとおり提言させていただきます。
- 有識者会議について、東京都は以下の点を実行すること
- 国際社会から届けられた懸念に関する要約を作成し、次回会合前に有識者会議に回覧し、さらに、一般に公表すること
- 会議の議論においては、東京都が都内で象牙取引を制約するための具体的な政策的措置に焦点を当てること。
- 有識者会議委員に対し、その意見、把握した事実、提言に関する報告を2021年12月31日までに提出するよう求め、これを一般に公表すること。
- 東京都議会で制定される条例によって、東京都内におけるほとんどの象牙の販売を禁止するための措置をとること
- 条例が施行されるに先立ち、都内での象牙販売が控えられるよう措置すること。
- 国に対し、ワシントン条約決議10.10(第18回締約国会議改正)に基づき、象牙市場を全国的に閉鎖するよう提言すること
- 象牙の違法な国内取引・輸出を阻止するため、警視庁による取締りを強化すること
世界は、現在の生物多様性危機を念頭に、野生生物という私たちの宝を守るために団結しなければなりません。そして、象牙を違法に取引するためのゾウの密猟を終わらせるべく、全ての国がその役割を果たさなければなりません。2020東京大会に世界の国々が一堂に会するよう招いたこの後は、東京都、そして日本が、将来世代のために世界のゾウを保護すべく、 “do better and go further” を実践されるよう、改めてお願いする次第です。
Jan Creamer | President | Animal Defenders International
Jill Robinson MBE, Dr med vet hc, Hon LLD | Founder & CEO | Animals Asia Foundation
Cathy Liss | President | Animal Welfare Institute
Daniel M. Ashe | President and CEO | Association of Zoos & Aquariums
Will Travers, OBE | Executive President | Born Free Foundation
Angela Grimes | Chief Executive Officer | Born Free USA
Sarah Uhlemann | International Director | Center for Biological Diversity
Ericka Ceballos | Chief Executive Officer | CATCA Environmental and Wildlife Society
Theo Bromfield | Programmes & Policy Manager | David Shepherd Wildlife Foundation
Dr. Marion Garai | Trustee | Elephant Reintegration Trust
Allan Thornton, OBE | President | Environmental Investigation Agency
Vera Weber | President | Fondation Franz Weber
Heike Henderson-Altenstein | Member of the Board |Future for Elephants e.V.
Iris Ho | Director, Wildlife Policy | Humane Society International
Grace Gabriel | Asia Regional Director | International Fund for Animal Welfare
戸川久美 | 理事長 | トラ・ゾウ保護基金
小川潔 | 会長 | 野生生物保全論研究会
Elly Pepper | Deputy Director, International Wildlife Conservation | Natural Resources Defense
Council
Gregg Tully | Executive Director | Pan African Sanctuary Alliance
Catherine Doyle, M.S. | Director of Science, Research and Advocacy | Performing Animal Welfare
Society
Daniela Freyer | Co-Founder | Pro-Wildlife
Charlotte Nithart | Chair | Robin des Bois
Frank Pope | Chief Executive Officer | Save the Elephants
Marie Levine | Executive Director | Shark Research Institute
Rob Brandford | Executive Director | Sheldrick Wildlife Trust
Dr. Trevor Jones | Chief Executive Officer | Southern Tanzania Elephant Program
Will Travers | President | Species Survival Network
Fiona Gordon | Ambassador – Wildlife Trade | the Jane Goodall Institute New Zealand
Peter Knights | Chief Executive Officer | WildAid
Dr. Paula Kahumbu | Chief Executive Officer | WildlifeDirect
Susan Lieberman, Ph.D. | Vice President, International Policy | Wildlife Conservation Society
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