報告書:東京都の象牙業界に対する補助金交付について、知事へ意見書提出

484 465 Japan Tiger Elephant Organization

補助事業の例

  • 密猟によるゾウの大量殺戮へ対処するため、1989年、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)によって、象牙の国際商業取引が禁止された。
  • 日本は、1990年に象牙の国際取引禁止が発効した後、条約による許可の下、1999年と2009年の2度にわたって南部アフリカ諸国でオークション販売された象牙を輸入し、これを手中にした唯一の国である。
  • 2016年、再来した密猟危機へ対処するべく、ワシントン条約の締約国は、密猟または違法取引に寄与する合法的な国内象牙市場を有するすべての国に対し、これを緊急に閉鎖するよう勧告する改正決議案をコンセンサスで採択した[1]。この勧告の主たる目的は、合法市場が合法性を装う違法な象牙のロンダリングの温床となることを防止するとともに[2]、合法市場を有する国で入手され、他国に輸出される象牙製品が違法な象牙製品に対する需要を高め、それがために輸出先の国における法執行の取組みと需要低減措置を損なうリスクを減少させることにある[3]。日本も、上記のコンセンサスに参加していた。
  • 日本は、政府に登録された何千もの象牙取引業者を擁して象牙製品を製造し続ける、グローバル・コミュニティから孤立した存在である。さらに、その活発な国内合法取引が違法な国際取引と結び付いているという強固な証拠もある[4]。それにもかかわらず、日本の市場は開かれたままである[5]
  • 2020年1月、東京都知事は、国際社会の訴えに応じて東京における象牙取引の影響評価を実行することを約し、東京都がとるべき対策を提言するための専門家から成る有識者会議を設置した。
  • 2022年3月、有識者会議は2年間の審議を経て、報告書を公表した。そこで示された提言には、象牙取引に対処するための法的措置の検討を求める提言が含まれていた[6]
  • ところが、東京都は、報告書公表後2年にわたってその検討を怠っている。

[1] Res. Conf. 10.10 (Rev. CoP19), paragraph 3 https://cites.org/sites/default/files/documents/COP/19/resolution/E-Res-10-10-R19.pdf

[2] CoP17 Doc. 27 “ACTIONS TO COMBAT WILDLIFE TRAFFICKING” submitted by the US

[3] CITES SC74 Doc.39 Annex 2 https://cites.org/sites/default/files/eng/com/sc/74/E-SC74-39.pdf

[4]  EIA. (December 2020) Japan’s Illegal Ivory Exports. https://us.eia.org/campaigns/wildlife/elephants/japan-ivory/

坂元雅行. 2022. 象牙密輸業者の入手先―日本の違法な象牙輸出に関する中国判例の分析. トラ・ゾウ保護基金 https://www.jtef.jp/wp/wp-content/uploads/2022/12/Ivory22Nov_J.pdf

[5] EIA&JTEF. 2023. Reality Check: Japan’s Legal Domestic Ivory Market https://us.eia.org/wp-content/uploads/2023/10/SC77-EIA_JTEF-Japan-Briefing-_FINAL_31-Oct-2023.pdf

[6] 象牙取引規制に関する有識者会議報告書(2022年3月)  https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/seisakukikaku/zouge_houkokusho