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ゾウのニュース & JTEFのコメント

象牙の需要拡大を危惧する2人のケニア人保護活動家

AFP通信、2011年02月13日

ツァボ国立公園、ケニア

ケニアのゾウの個体数が伸び悩み、象牙需要が高まる中、保護活動家たちの間では大変な苦労を経て動物たちを保護し、ようやく増加した個体数が元に戻ってしまうのではないかという恐怖心が高まっている。

先週行われた東アフリカ最大のゾウ保護区の航空機による個体数調査によると、生息数の増加率が前回の調査の4パーセントから2パーセントに減少した。広大なツァボの生態系で確認されたゾウは12572頭で、2008年の11696頭より若干の増加となったものの、増加率は下がったことを示している。ケニア野生生物公社総裁のジュリウス・キプンゲッチ氏は個体数の伸び悩みは恐らく「象牙重要の高まりによる密猟の増加」を反映しているという。

近年、ケニアは多数のゾウを失い、当局によれば2008年にCITES(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」通称「ワシントン条約」)が南アフリカの4カ国に許可した一度限りの在庫象牙販売によってアジア諸国での需要が高まった。「密猟が増えている」とキプンゲッチ氏は語った。ロンドンに本部があるNGOセーブ・ザ・エレファンツの創設者イアン・ダグラス・ハミルトン氏はアジアが富裕になるにつれ、伝統薬や装飾品として象牙の需要が一層高まったと語った。

「中国やその他の極東諸国で需要が拡大し、そうした国々で象牙の支払い能力が高まることは、より根本的な要因に関わると考えられるため、密猟の増加が非常に心配だ」と同氏はAFPに話した。

国際動物福祉基金(IFAW)のジェイムス・イシチ氏は「1989年の国際象牙取引禁止以降に増えた個体数を保持し、警察当局との協力体制を継続するための新たな取り組みが求められている」という。「こうした調査はゾウの管理および保護に不可欠だが、真の挑戦は密猟などの脅威からゾウを守ることであり、課題は土地利用の変化からも生まれている」とイシチ氏は付け加えた。

国内のゾウの3分の1が生息するツァボ国立公園はケニア有数のゾウ保護区であり、その面積は46437平方キロメートルとデンマークより大きく、イスラエルの2倍ある。広大なツァボは絶滅の危機にあるケニアのゾウ達の状態を知るための脈拍だと言うこともできる。1976年にはツァボには35,000頭のゾウが生息していた。1970年代初頭の厳しい干ばつで約6000頭が死に、狩猟の猛攻があった後の1988年には保護区内にわずか5400頭しか残っていなかった。

しかし1990年代の厳重な保護活動の甲斐あって個体数は徐々に増加した。ここ数カ月でケニアではナイロビの主要空港からアジアへ象牙を密輸する業者が大勢逮捕された。2009年にケニアを襲った厳しい干ばつもまた、ゾウの個体数が減少した原因と考えられている。幼いゾウや年老いたゾウが長い干ばつに耐えられず、他の小動物と同様に生息数が減ってしまった。

ゾウやその他の野生動物にとっての最大の脅威は依然として密猟だが、ケニアの急速な人口増加もまた国土へのプレッシャーとなっており、保護区の侵食や動物との衝突を引き起こしている、と保護活動家たちは語った。2009年の調査によると、3800万のケニアの人口は年に100万人増加している。「今後20年では、限りある国土にさらに2000万人増加すると予想されている。我が国の生態系に途方もない影響を及ぼすだろう」とキプンゲッチ氏は語った。
(翻訳協力 秋谷亜希子)

【JTEFのコメント】
ゾウの一生は人間に似ています。群れで生活し60~70歳くらいまで生きます。妊娠期間は2年間と長く、性成熟するのも15歳位です。一度に一頭の子供を産むので、ゾウの個体数を増やすのは長い年月がかかります。アフリカやインドでは人口が増え、開発などで森が減少。生息環境が悪くなりつづけるうえ、象牙需要が増加すれば当然密猟も増大します。 ゾウがいなくなると野生の世界も失われ、私たち人間の生活環境にも影響を及ぼします。


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