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2013年1月17日配信
トラ・ゾウだより
NPO法人トラ・ゾウ保護基金
http://www.jtef.jp/
みなさん、こんにちは。NPO法人トラ・ゾウ保護基金のメールマガジンをお届けします!
東日本太平洋沖地震で被害を受けていらっしゃる方々へ心より
お見舞い申し上げます。
本日は、阪神大震災のあの日から18年目でもあります。犠牲になっ
た方々に祈りを捧げると同時に、復興に力を尽くしてきた方々にも
思いをはせたいと思います。
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今年は巳年です。植物に種子ができはじめる時期と考えられてい
るそうです。『漢書 律暦志」では、「止む」の意味の「已」とし、
草木の生長が極限に達して、次の生命がつくられ始める時期と解釈
されています。JTEFも設立から4年目を迎えました。さまざまに蒔
いてきた種が、少しずつ生長してきたことを実感しています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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今号では、2013年3月に開かれるワシントン条約締約国会議を前に、
タンザニアが自国のアフリカゾウを取引禁止の附属書Iから取引が
できる附属書IIへ落とす提案を取り下げたニュースをお届けします。
最後に解説を載せますので、ぜひお読みください。
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The Citizen 2012年12月25日
来年3月にタイ、バンコクで開催されるワシントン条約締約国会議で象牙取引提案を出していたタンザニア政府は、中国と日本を売却
先とする100トンの象牙取引提案を取り下げた。100トンの象牙は55.500万ドル(4,761,345,000円)の価値がある。
タンザニアが提案を出してからというもの、ゾウ生息国から強い批判が起こっていた。タンザニアは提案の中で密猟者から押収した象
牙は除いて販売するとしていた。タンザニアの備蓄象牙の総計は137,229.20kgでそのうち101,005kgが販売可能な在庫とされている。しかし、その出処にも疑問が呈されていた。
自然資源観光省の野生生物局のSongorwa局長は「タンザニア政府はワシントン条約が決めた24に及ぶ条件をクリアできなかったからだ」と述べた。彼はタンザニアがみたすことのできなかった条件が何かを示さなかった。
2012年だけでゾウ数百頭が殺され、密猟者から数百トンもの象牙が押収されている。タンザニアが象牙を売ると提案した1週間後には、香港当局がタンザニアとケニアからの2艘の船に積まれた3628kgの象牙(3400万ドル相当)を押収した。
先月、同じく香港当局が1400万ドル相当の象牙1330kgを押収したが、これは少なくとも150頭のゾウの殺戮に対応する量である。そして、これもタンザニアからの象牙だったと自然資源観光省のKagasheki大臣が述べた。
表面上はゾウやゾウの生息国に暮らす人々の発展のためにといって、資金集めのために象牙を売ろうとしたが2回続けてタンザニアは、ワシントン条約会議で象牙の販売に失敗した。2010年にタンザニアは9万kgの備蓄象牙の販売をワシントン条約会議で提案したのだが失敗した。この在庫量は2000万ドルの価値になる。タンザニアはザンビアと協力し1回限りの販売を提案したが、前回の会議で受け入れられなかった。
これに対して、隣国ケニアが、2010年にタンザニア、ザンビアの要望を阻止するキャンペーンを行い強い抵抗を示した。ワシントン条約176の締約国の少なくとも3分の2の賛成票を集めなければ備蓄象牙を売ることは出来ない。
タンザニアの提案撤回は、世界の保全グループを喜ばせた。国際動物福祉基金(IFAW)代表のDones氏は「2011年の象牙押収猟は最悪だった。2012年も1000kgを超えている。ゾウの個体群にとって深刻な脅威だ。」と述べた。
IFAWゾウプログラム担当のベル氏は、「いま、象牙戦争の真っ只中にある。チャドやカメルーンの当局が数百人の兵士を配備しているが、その一方マレーシアでは先週、史上2番目の象牙押収があったところだ。」と加えた。
「このタンザニアの撤回によってそれが意味するとるべき行動=ゾウや絶滅危惧種が撲滅されるまえに、取引から彼らをまもることに、ワシントン条約は意識を転換できる」
次回のワシントン条約締約国会議では他の多くの提案が議論される。ホッキョクグマの商業取引停止や、フカヒレのためのサメの大量虐殺終了、サイの保全などがそこに含まれる。
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【解説】
2013年3月3~14日には、ワシントン条約(CITES)第16回締約国会議がタイのバンコクで開催されますが、アフリカで2番目にゾウの数が多いタンザニアが、象牙取引再開を提案しました。提案の中心は、101トンの政府在庫をそれぞれ1回の取引で中国と日本に輸出することでした。
タンザニア提案の説明によるとゾウの個体数は約11万頭とアフリカゾウ全体の5分の1から4分の1を占めています。しかし、2003年には国土の49%に及んだ分布域は、2010年には34%に減少してしまっています。また、個体数の増加率も大きく下がり始めています。輸出しようとする政府在庫からは自然死や害獣として駆除されたゾウの牙だけに限定し、押収象牙は除かれています。
ところが、2010年のCOP15で取引再開提案(結果は否決)したときの押収象牙量と今回提案現時点の量を比較すると約600kgしか差がないのです。2011年に起きた事件のうち1件で1,895kg押収があることからしても矛盾しています。押収した象牙が1,895kgはあるはずなのに、
600kgしかないと発表する政府在庫の管理には大きな疑問があります。
そして何より、タンザニアは2009~2011年にかけての大規模取引の34%(計19,806kg)に関係しているのです(ETISより)。2012年10月の香港での4トンの押収(600頭のゾウに相当)についても、国際刑事警察機構インターポールは、タンザニアのセルー鳥獣保護区およびミクミ国立公園で密猟されたものではないかと疑っており、4人のタンザニア人が容疑者に含まれていると報道されています。
タンザニアの象牙取引再開提案を受け、CITESの決議に基づいて「アフリカゾウ専門家パネル」が設置され、提案内容の検討が開始されました。そして、2012年の暮れも押し迫った時期にタンザニアは提案を突然撤回しました。専門家パネルから指摘された問題点に対してもっともな釈明ができるような状況ではなかったのでしょう。
万が一タンザニア提案が通るようなことでもあれば、ますます象牙の国際商品としての認知が高まり、密猟者や違法ブローカーをゾウの殺戮に駆りたてていたことでしょう。タンザニアの提案撤回はゾウにとって数少ない嬉しいニュースだったに違いありません。
(このニュースはhttp://www.jtef.jp/elephantnews_121225.htmlに掲載されています)
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