なぜ野生生物を保全するのか?
地球のすべての命のために
人間と野生の生きものとの関係は、日常生活の中では見えにくいものです。しかし、人間と野生の生きものは、40億年の時を経る中で、目に見えないところで深く結びついています。川に落ちた葉はしばらく流れに身をまかせて旅をし、やがて川底に沈みます。でも、いつの間にか他の葉がそれに代わって旅を続けています。地球上では生物の進化という流れの中で、何千万、何億という生物が生まれて旅を始め、終えてきました。人間もこのような落ち葉の1枚です。他の落ち葉との間に、優劣も、上下関係もありません。それぞれが、人類にとっての価値とは関係なく、はぐくまれてきた命です。人間と他の野生生物は、進化の歴史の1頁を刻む、地球の仲間といえます。
進化プロセスをマラソンと同じ約40キロの川にたとえると、私たち人間が登場したのは最後の40メートル地点に過ぎません。その私たちが、川の流れをとめようとしています。そのような権利が私たち人間にあるのでしょうか。
生物多様性の保全は、私たち人類wが生存し続けるためにも避けて通れないことですが、「人間のため」だけでなく、「地球のすべての命のため」と思いやる「心」も大切ではないでしょうか。
(坂元雅行)
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