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インドは、野生生物保護区を確保しゾウの密猟を取り締まらなければならない

ニューデリー発(AP通信社)、2010年08月31日

 「インドは、野生生物保護区を確保し、密猟を抑え、ゾウが森林地域の間を移動するときに通るコリドー地域の開発を制限して、ゾウの個体数を守るべきである。」と、対策専門委員会は、8月24日火曜日、勧告した。

 象牙を求めての密猟や、生息地が減少化してゆくために起きる人間とゾウとの衝突は、インドに約26,000頭いると推定される野生ゾウ個体数を考えたときに直面する、主要な難題である。ゾウ対策委員会は、国家ゾウ保護期間を立ち上げて、ゾウ保護区をより良く管理し、採鉱や灌漑、そしてその他の産業プロジェクトから、動物達が移動するのに使用する88のコリドーを守ることを、勧告した。

 報告書主筆のマケシュ・ランガラジャン氏が語るところによれば、ゾウは、トラや他の絶滅危惧種のような注目を集めていないが、それは、一つには、ゾウの減少率がさほど劇的でないからということである。インドの野生ゾウの頭数は、過去10年間に渡り、ほぼ横ばい状態であるが、野生ゾウの生息地は減少の一途をたどってきた。

「ゾウに関して言えば、問題は、絶滅の危機ではなく、減少化の危機なのです」と、ランガラジャン氏は述べた。

 ジェイラム・ラメシュ環境森林大臣は言う。インドは、ゾウが国家遺産的動物であると宣言して、問題に関する関心を高めてきていると。対策専門委員会はまた、インドが近代的な通信機器を持ち訓練を受けた森林監視官を用いて、密猟を抑制する必要があると、語った。

 アジアゾウでは、象牙があるのはオスだけである。象牙目的の密猟のせいで、インドにおけるオスゾウとメスゾウの個体数の割合は、非常にゆがんでしまった。「オスゾウ1頭に対してメスゾウ100頭の割合であるところまで、落ち込んでしまった場所もあります。」と、ランガラジャン氏は言う。

 インド野生生物トラストの野生生物専門家ビベック・メノン氏はこう語った。「対策専門委員会の勧告は、進むべき正しい方向への一歩です。」「完全に実行されれば、ゾウを救うことは十分できます。」
(翻訳協力 蔦村的子)

【JTEFのコメント】
 26000頭もいれば絶滅の危機ではないと思う人も多いかもしれません。しかし現在のように生息地が激減し、孤立化し、ゾウたちが移動できない状況では、繁殖もできずにあっという間に数千頭まで数を減らしてしまいます。オスとメスの比率のバランスが取れていないことも大問題です。今こそ生息地を守ること、自然にゾウが繁殖し生活できる環境を守ること、密猟を防ぐこと、地球上からゾウを消さないためにはこれしかありません。


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