ゾウのニュース & JTEFのコメント
タンザニアの主要国立公園で密猟が増加
アルーシャ州―タンザニア南西部のカタヴィ国立公園では密猟が重大な問題となっている。当国立公園管理長代理であるデヴィッド・カドモ氏(David Kadomo)によると、極東地域における象牙市場の拡大により、トロフィー目的の標的としてゾウの人気が高まっているという。
ゾウの殺害が相次いでいる原因としてブルンジやコンゴ民主共和国などからの避難民が指摘されており、同氏によると、近年密猟は増加傾向にあるという。先日、複数のマスコミ関係のジャーナリストらがカタヴィ国立公園保護区を訪問した際に公表された報告書の中で、同氏はこの事実を明らかにした。
同氏によると、「トロフィー目当てで行われる野生動物の殺害は、現在では営利目的となっており、近隣諸国を介して象牙が密輸されている」という。近年タンザニアは、極東地域向けに密輸される象牙の供給地になっているとして非難されている。しかし同氏は、タンザニア国内における象牙の押収量や殺害されたゾウの年間頭数など具体的な数値は公表していない。
同氏はまた、ルクワやキゴーマなどの西部地域に居住する難民がゾウの密猟の原因であると指摘している。
カタヴィ国立公園は4471平方キロメートルというタンザニア国内第3位の面積を持つ国立公園であるが、公園内に走る道路の増加によりゾウの密猟が減少したかどうかの点については言及していない。しかし、公園内の道路沿いで自動車事故の被害にあう動物が多いと同氏は述べている。同保護区はゾウの生息数が最も多いことで知られており、乾季には4000頭のゾウが園内を流れる川沿いに群れを成す。
カタヴィ国立公園は、植民地時代から続く2253平方キロメートルのカタヴィ野生動物保護区を拡大し、1974年に設立されたものである。1998年、同公園は約2倍の面積の4471平方キロメートルとなり、セレンゲティ、ルアハに次ぐ国内第3位の国立公園となった。
(翻訳協力 梅村佳美)
野生生物保全という枠組みだけでは動物たちを救えないことが端的に示されているわけですが、できることはあります。ゾウが「武器購入資金」にならないようにすること、つまり象牙が国際マーケットで高値で取引される状況をなくす=国際マーケットを閉じること。この商売のために人もゾウも殺されてきたのです。象牙取引の血塗られた問題点は、ゾウの命からも人の命からも考えたいものです。