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ゾウのニュース & JTEFのコメント

タイのゾウが殺され、「レストランのために」ばらばらに切断される

AFP、2012年1月

 バンコク―タイの野生生物関係者は木曜日に、象牙、尾、陰茎がなくなって見つかった野生のゾウの死体の、これら身体部分は観光地のレストランに送られた可能性が高いと述べた。

 タイ中央のミャンマー国境そばの、ケーンクラチャン国立公園で発見されたこのゾウは、地元の密猟ギャングによって殺されたと考えられている。
 「彼らはゾウの牙と、胴体、性器と尾を切り取った。これらの部位は中間業者に売られたに違いなく、その後、プーケットやスラタニ、ホアヒンのような有名な観光地のレストランへと送られるだろう。」と、公園の園長のチャイワット・Limlikhitaksorn氏はAFPに話した。
 「この地域にはゾウのハンターのチームがある。彼らはタイとミャンマーの国境沿線に住んでいる、国籍を持たない人々である。」と彼は付け加えた。
 チャイワット氏は、犯罪の増加と、250頭の野生のゾウと警官が危険にさらされているのは、効果のない法律のせいだとした。

 近年象牙の押収量は劇的に増加しているように、タイはまた、違法な象牙取引の国際的な中心地としても知られるようになった。その上、密猟者がゾウを収奪する場所としてアフリカへと向かうようになったためである。
 タイには象牙彫刻の歴史がさかのぼること19世紀後半からあり、そのころ、タイには10万頭余りのゾウがいた。
 それ以来、ほとんどのゾウは密猟者と、彼らの森林環境がなくなったことにより失われ、多くのゾウが観光業界で働かされている一方、今ではたった2、3千頭のみが残るのみとなった。
 タイは、象牙取引に占める位置のために、象牙の多くを、伝統的に粉薬として使用している中国と、そして日本に輸出している。
(翻訳協力 瀧口暁子)

【JTEFのコメント】

 タイの野生ゾウは2,500~3,200頭と推定されていますが(R. Sukumar, 2003, The Living Elephants)、その多くは、タイ・ミャンマー国境に生息していると見られています。タイ・ミャンマー国境には大規模につらなる大森林地帯が残されていますが、近年その急速な開発が懸念されています。木材目的で違法な伐採が行われ、プランテーションを造成するために森が切り開かれているのです。人の入り込みが増えるにしたがって密猟も増加しているようです。象牙や幸運を呼ぶという尾に生えた毛などを目当てにした、あるいは生きた仔ゾウを観光施設に売り払うための密猟です。ミャンマーでは近代化が加速しそうですが、それが生物多様性破壊も加速することがあってはならないでしょう。


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