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ゾウのニュース & JTEFのコメント

日本のビリヤード業者へ象牙を違法に輸出したアメリカの会社に対し、アメリカの裁判所が1150万円の罰金を含む1250万円以上の支払いを命じました。

2012年1月23日

 このニュースは、2011年1月10日のアメリカ合衆国司法省の発表によるものです。
 「アトラス・ファイバー」社(スコーキー:シカゴ)は、工業製品向け原材料のファイバーやプラスチックを製造する会社ですが、「アトラス・ビリヤード・サプライ」と呼ばれる部門を持ち、ビリヤード・キュー(スティック状のもの)に取り付けるパーツを販売していました。このパーツの材料には、アフリカゾウの象牙、貝製品の他、ゾウ、オオトカゲ、カンガルー、ダチョウ、サメなどの皮も含まれます。
 アトラス・ファイバー社は、2006年に日本の顧客に対して3,057米ドルでアフリカゾウの加工象牙61片をワシントン条約(CITES)に定められた輸出許可書なしに売却したことを認めています。アトラスは、日本の税関を抜けやすくするためにインボイス(貿易に用いられる送り状)に「象牙」と故意に記載しませんでした。
 アトラスは、2011年12月に起訴、2012年1月10日に治安判事に対して有罪を認め、15万米ドル(1150万円 76円/米ドル)の罰金刑を受けました。この罰金は、米国レーシー法賠償基金に支払われることになります。また、(捜査にかかった費用として)米国魚類野生生物局(USFWS)による密輸製品買い取り費用として12,273米ドル(93万円 76円/米ドル)の賠償金と1,428米ドル(10万円 76円/米ドル)の基金管理費用の支払いを命じられています。
  アトラスは、それぞれが別件となる129件について計93,000米ドルを超えるアフリカゾウの象牙製品を、2002年1月から2006年11月にかけて、主に日本、ドイツに対し、ワシントン条約の許可無く販売(輸出)していました。また、同様に、53件、計11,700米ドルを超えるオオトカゲおよびアフリカゾウの皮製品を2005年9月から2009年10月にかけて、37件、計3,799米ドルを超える真珠、アワビおよびその他の保護動物種の皮製品を2005年1月から2009年10月にかけて、ワシントン条約の許可無く輸出していました。  

 
【JTEFのコメント】

アトラス・ファイバーの日本への象牙密輸については、2006年に日本で2つのビリヤード製品製造販売会社・会社代表者らがそれぞれ有罪判決を受けています(判決はケースXにつき2007年、ケースYにつき2008年)。JTEFは第15回ワシントン条約締約国会議(2010年3月)に先立って公表したレポートの中でこの事件を取り上げ、輸出元がアトラス・ファイバーであるという情報を示していました。
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 今回の米国法執行機関によるアトラス・ファイバー社に対する刑事処分はすばらしいことです。日本への象牙の「お決まりの」輸出経路のひとつ封じられたと言えるでしょう。また、注目すべきは支払いが命じられた金額です(計1250万円以上)。日本の輸入者たちに課された罰金額は、ケースXにつき個人法人計160万円、ケースYにつき個人法人計350万円でした。日本の場合、個人については執行猶予付懲役刑が言い渡されていること、象牙以外の密輸があったことを考えても、(特に現在のドル安円高を計算に入れると)高額といえるでしょう。同様の取引を生業にしている業者にとっては大きな抑止力になるはずです。
 日本の警察、検察、裁判所に対しては、特に象牙のように組織的な密猟、密輸が行われる野生生物犯罪に対しては、(法定刑の範囲で)出来る限り厳しい処罰を与えるよう求めたいと思います。


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