ゾウのニュース & JTEFのコメント
カジランガの災厄:溺死と轢死
アッサム州で起きた、8年間で最悪の洪水はカジランガ国立公園に大きな被害をもたらした。800平方キロにわたる公園の80%が水浸しになり、野生動物はより乾いた土地へ避難するために幹線道路を使わざるを得ない。
洪水が原因でサイの成獣2頭と子サイ1頭、ホッグジカ22頭に子ゾウ1頭が死に、17頭のホッグジカが国道37号線を渡ろうとして車にはねられた。「公園内の道路や橋は甚大な被害を受けています」と、カジランガ国立公園長のS・K・ボラ(S K Bora)氏は語った。彼によると、木曜日以来、2頭の大人のサイと子サイが渦を巻く水から逃れられずに命を落としたという。
洪水は2週間前から公園に流れ込み続けており、6月26日にはアッパー・アッサム(upper Assam)、アルナチャル・プラデシュ州東部とナガランド州の集水域に降った雨により急激に水かさを増した。動物たちを守ろうという努力で、公園の900人を超える最前線スタッフは休む間もない。公園内の152か所の監視所のうち60か所以上が水に浸かり、職員たちはボートでパトロールするしかない状況となっている。
公園当局は、50㎞にわたり公園に沿って走る幹線道路に250人の人員を配置した。「さまざまなNGOから来た200人以上のボランティアも、スピード違反の取締りを手伝ってくれています」とボラ氏は述べた。
公園当局は、ゴラガート県およびナガオン郡(カジランガはソニプールを含めて3つの県にまたがっている)の警察と協力して、幹線道路にバリケードを設置した。幹線道路を通過する車には公園の両端でタイムカードが渡され、反対端で返却することが求められる。公園内の50㎞を45分未満で通過した場合は罰金が科せられる。
【翻訳協力】木田直子
ここはJTEFがインドで行なっているゾウの保護活動地「カルビ・アングロン自治区」に隣接しています。
カジランガの同僚に聞いたというWTIのメンバーから「状況はましになってきている」との連絡がありました。ただ、WTIの、怪我などをした野生生物に処置をして森へ返す活動をしているリハビリ保全センターの獣医師たちにとっては非常に忙しい週となったそうです。今回は特にひどかったのですが、もともとモンスーンの時期には洪水が頻繁に起こります。自然の力は大きく人間の手で止められるものではありません。自然との共存が常に身近な問題となっています。
「カルビ・アングロン自治区」は台地になっており、大河の氾濫原であるカジランガ国立公園が水没したときの野生動物の避難場所でもあります。「道路を無事渡ることができれば、そこには安全な生息地が待っている」という状況を維持できるよう、JTEFも活動を強化していきます。