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Big Christmas Present!タンザニアが提案取り下げ

The Citizen 2012年12月25日

2013年3月に開かれるワシントン条約締約国会議を前に、タンザニアは自国のアフリカゾウを取引禁止の附属書Ⅰから取引ができる附属書Ⅱへ落とす提案を取り下げました。

来年3月にタイ、バンコクで開催されるワシントン条約締約国会議で象牙取引提案を出していたタンザニア政府は、中国と日本を売却先とする100トンの象牙取引提案を取り下げた。100トンの象牙は55.500万ドル(4,761,345,000円)の価値がある。

タンザニアが提案を出してからというもの、ゾウ生息国から強い批判が起こっていた。タンザニアは提案の中で密猟者から押収した象牙は除いて販売するとしていた。タンザニアの備蓄象牙の総計は137,229.20kgでそのうち101,005kgが販売可能な在庫とされている。しかし、その出処にも疑問が呈されていた。

自然資源観光省の野生生物局のSongorwa局長は「タンザニア政府はワシントン条約が決めた24に及ぶ条件をクリアできなかったからだ。」と述べた。
彼はタンザニアがみたすことのできなかった条件が何かを示さなかった。

2012年だけでゾウ数百頭が殺され、密猟者から数百トンもの象牙が押収されている。タンザニアが象牙を売ると提案した1週間後には、香港当局がタンザニアとケニアからの2艘の船に積まれた3628kgの象牙(3400万ドル相当)を押収した。
先月、同じく香港当局が1400万ドル相当の象牙1330kgを押収したが、これは少なくとも150頭のゾウの殺戮に対応する量である。そして、これもタンザニアからの象牙だったと自然資源観光省のKagasheki大臣が述べた。

表面上はゾウやゾウの生息国に暮らす人々の発展のためにといって、資金集めのために象牙を売ろうとしたが2回続けてタンザニアは、ワシントン条約会議で象牙の販売に失敗した。2010年にタンザニアは9万kgの備蓄象牙の販売をワシントン条約会議で提案したのだが失敗した。この在庫量は2000万ドルの価値になる。タンザニアはザンビアと協力し1回限りの販売を提案したが、前回の会議で受け入れられなかった。

これに対して、隣国ケニアが、2010年にタンザニア、ザンビアの要望を阻止するキャンペーンを行い強い抵抗を示した。ワシントン条約176の締約国の少なくとも3分の2の賛成票を集めなければ備蓄象牙を売ることは出来ない。

タンザニアの提案撤回は、世界の保全グループを喜ばせた。
国際動物福祉基金(IFAW)代表のDones氏は「2011年の象牙押収猟は最悪だった。2012年も1000kgを超えている。ゾウの個体群にとって深刻な脅威だ。」と述べた。
IFAWゾウプログラム担当のベル氏は、「いま、象牙戦争の真っ只中にある。チャドやカメルーンの当局が数百人の兵士を配備しているが、その一方マレーシアでは先週、史上2番目の象牙押収があったところだ。」と加えた。
「このタンザニアの撤回によってそれが意味するとるべき行動=ゾウや絶滅危惧種が撲滅されるまえに、取引から彼らをまもることに、ワシントン条約は意識を転換できる」

次回のワシントン条約締約国会議では他の多くの提案が議論される。ホッキョクグマの商業取引停止や、フカヒレのためのサメの大量虐殺終了、サイの保全などがそこに含まれる。

 
【JTEFのコメント 12月】

クリスマスに、嬉しいニュースが入ってきました。タンザニアはアフリカゾウの将来にとって重要な生息国です。そのタンザニアが出した備蓄象牙を売る提案はゾウの保全を考える私たちを震撼とさせ、密猟・密輸に関わる人たち、それから日本と中国の象牙業者を歓喜させました。JTEFはワシントン条約締約国会議にずっと参加していますが、この条約は絶滅のおそれのある野生動物を守るためではなく、どこまで野生動物を利用できるか、という条約になってしまっていると感じてしまいます。しかし今回はワシントン条約事務局がタンザニアは条件を満たしていないというレポートを出して、タンザニアが提案を引っ込めたという経緯ですから、本当にホッとしました。タンザニア提案が通ることを見込んで、すでに密猟されたゾウを生き返らせることはできませんが、今後、条約の本来の意味が生かされることを祈ります。


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