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ケニア当局、インドネシア向けの象牙2トンを押収

フランス通信社(AFP)2013年1月16日

ケニアではアフリカゾウの密猟が増大し、2012年は少なくとも360頭のアフリカゾウが殺されています。象牙の多くはアジアや中東へと送られ、装飾品などに使われます。

火曜日に行われたケニア当局者の発表によると、ケニアの港湾都市モンバサで、重さにして2トン、600本以上の象牙が押収された。これはケニア当局による一連の象牙押収の最新事例である。
この港を管轄する警察の消息筋は、「荷は装飾石材のラベルが貼られ、タンザニアからインドネシアに向けたものでした」と匿名を条件にAFPに語った。
この港で差押えの指揮にあたったギタウ・ギタウ氏は、象牙は確かに押収したが誰も逮捕できなかったと語った。積み荷の出荷に使われた書類から荷主を突き止めることができるだろうと同氏は述べ、押収した象牙は100万ドル(約9,370万円、1ドル= 93.7円、 2月6日現在)以上の価値があるとも述べた。
2週間前に香港の当局者は、ケニアを出港した船荷から約140万ドル(約1億3118万円)相当の象牙1トン以上を押収した。
20世紀中ごろに数百万頭であったアフリカのゾウの個体数は1980年代末には約60万頭にまで減少したため、1989年から象牙の国際取引は、稀な例外を除いて禁止されている。
象牙の取引はワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)に従って禁止されている。
東アフリカ諸国では近年、密猟事件の増加が報告されている。1週間前には、ケニアの国立公園でゾウの一家族11頭が殺されたが、当局によれば、過去30年間にケニアで起きたこの種の事件で最悪のものだという。

この殺戮により、ケニアのライラ・オディンガ首相は、増大する密猟の脅威に立ち向かうケニアへの支援を要請するに至った。観光事業が東アフリカの経済に重要な役割を果たしているという事実をよそに、近年、密猟者たちはその活動をこれまで密猟の心配はないと考えられていた地域にまで拡げてきている。
ケニア野生生物公社によると、昨年ケニアでは少なくとも360頭のゾウが殺され、2011年の289頭を上回った。
昨年の10月には、タンザニアの警察が200個以上の象牙を押収した。これらは91頭の異なるゾウから取られたもので約100万ドル(9,370万円)に相当する。
警察によると、この時の家宅捜査で4人が逮捕され、タンザニアの経済の中心地ダルエスサラームに住むケニア人の家から全部で214個の象牙が押収された。
逮捕当時、警察が語ったところでは、象牙はタンザニアのゾウから切り取られたものと警察は確信しており、密猟者らはその象牙を陸路でケニアに運ぶつもりであったという。
密猟の増加は、来る3月にタイで開催されるCITES締約国会議に原因があるという専門家もいる。この会議で象牙取引の禁止が解除されるかもしれないという思惑から、象牙取引業者らが駆り立てられるように象牙の在庫を増やしている可能性があるからだ。
象牙の違法取引は主にアジアや中東での需要によるもので、そこでは象牙やサイの角が装飾品や漢方薬に使用されている。
アフリカは472,000頭と推定されるゾウの生息地であり、ゾウの生存は密猟や狩猟トロフィーの違法取引に加え、人口増加による生息地の喪失などに脅かされている。
【翻訳協力】松崎由美子

 
【JTEFのコメント 2013年2月】

2012年のゾウ密猟数の多さは1970年代〜80年代の悪夢の再来だとありますが、日本が象牙取引禁止前の1979年から1988年までの間、正規に輸入した未加工象牙は約2,727トン。ゾウの数にして12万頭前後にもなります。この期間は、まさにアフリカ大陸でゾウが象牙目的で大量殺戮されていた時期と重なります。日本以外のアジア諸国での象牙需要が高まったのは確かですが、そのきっかけは象牙を買い続け消費続けた日本だとも言えます。


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