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シンガポール農業食品・家畜庁、象牙1.8トンをアフリカへ送還

アジアワン 2013年7月23日

シンガポールが押収した象牙をアフリカへ2度目の送還。経由地であるシンガポール税関が押収した1.8トンはケニアから他国へ輸送する途中だった。

シンガポール  農業食品・家畜庁(AVA)は、ケニア野生生物公社(KWS)、ケニア警察、ルサカ特別対策本部(LATF)と事態を収拾するため、未加工の象牙1.8トンの積送品をアフリカへ送還した。さらに検査を受け、アフリカの当局者により取締りを実行してもらうためである。

象牙は検査を受け、農業食品・家畜庁により数量が検証される。そして、法の執行にあたるアフリカの当局者は、2013年7月23日にアフリカへ送還する手はずをととのえた。

今回の積送品は2002年以来2番目に量が多く、また、積送品がアフリカへ送還されるのは2度目でもある。

未加工の象牙1.8トンは、約250万シンガポールドルの価値があるが、農業食品・家畜庁やシンガポール税関により押収された。その時、違法な積送品は輸送中で、シンガポールを経由したところであった。2013年1月23日にケニアから他国へ輸送する途中であった。

積送品は「廃棄紙」と偽って申告されており、象牙は65枚の黄麻の粗布でできた麻袋に梱包されていた。農業食品・家畜庁の取り調べでは、現地の輸入者は本件に関与していないことが明らかになった。

農業食品・家畜庁の検疫および検査グループの副長官であるLye Fong Keng女史は、こう述べた。
「象牙の本国送還は、違法な象牙取引を妨害するための、シンガポール当局者、ケニア当局者、およびルサカ協定特別対策本部間の強い協調的な努力の表れである。」

ケニア警察の補佐長官であるPius Macharia氏はこう述べた。
「象牙の本国送還は、ケニア当局とシンガポール当局間の、主な動機が密猟であるアフリカの象牙の違法取引を制限するための努力に向けた協力が続いていることを示している。」

「ゾウの密猟が、アフリカにおける野生生物に基づいた観光産業を脅かしている。ルサカ協定特別対策本部(特定の地域における野生生物に関する法執行特別対策本部)を通して、アフリカは、他の国際的な機関、とりわけASEAN(東南アジア諸国連合)やSAWEN(東南アジア野生生物法執行ネットワーク)と協力し、国際的な野生生物犯罪と闘っている。

「今回の本国送還はワシントン条約の要求に応じており、2004年以来シンガポールから送還される2度目のものである。われわれは、今回の行使に向けたシンガポール当局の努力に感謝する。」

シンガポールも加盟しているワシントン条約(CITES)の下では、あらゆるアフリカゾウおよびアジアゾウは絶滅危惧種である。象牙の国際取引は、1989年以来ワシントン条約の下で禁止されてきた。

シンガポールの絶滅危惧種法の下では、象牙の違法取引に対する罰金の上限は、規制された種ごとに5万ドルであり、または/それに加えて2年の懲役である。

同じ処罰が、輸出あるいは輸入国より適切なワシントン条約の許可なしでのシンガポール経由のいかなる象牙の積み換えにもあてはまる。

シンガポール政府は、いかなる違法な野生生物取引行為もシンガポールでまかり通るのを容赦しない。象牙の違法取引に関する情報を持つ者はだれでも、農業食品・家畜庁6325 7625に連絡してほしい。農業食品・家畜庁が共有しているあらゆる情報は、厳重に極秘扱いされる。

農業食品・家畜庁はまた、あらゆる輸送会社および物流会社に、申告に携わるエージェントおよび貨物の流通業者が野生生物の違法売買の導管として利用されることのないよう慎重に行い、防策をとるようにと注意した。
【翻訳協力】日原直子

 
【JTEFのコメント 2013年9月】

シンガポールはケニアのアフリカゾウの象牙密輸の中継地点になっています。象牙の違法な国際取引を撲滅するためには、輸出国、中継国、輸入国の緊密な協力関係が重要です。シンガポールは、マレーシア、フィリピン、香港、台湾などとともに象牙取引の中継国ですが、ケニアへの返送には大きな意味があります。その後、この象牙を分析し、その主であったゾウの分布域=密猟が行われた地域がわかればそこでの密猟防止対策や違法取引ルートの重点取締に大いに役立つことが期待されます。


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