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ミャンマー軍事政府関連のプランテーションがビルマのトラ保護区を「破壊」しつつある

ピーター・ポファム、2010年8月26日

ビルマ北部の未開地にある世界最大のトラ保護区が急速に浸食されつつある。軍事政府筋の実業家が、樹木を伐採し、金になる穀物を栽培しているためであると、昨日発行の報告書は述べた。

カチン州にあるフーコン谷のトラ保護区は、NGO野生生物保護協会(WCS)の協力のもと、2001年に設立された。2004年に拡張されたとき、WCSは「世界最大のトラ保護区」と認めた。

「ミャンマーの最北端の地には、トラがありのままのトラでいられる谷がある」と、今月初旬のWCSの最新の会報では、報告している。政府の高官たちは、フーコン谷全体をトラ保護区に指定した。13,500平方キロメートル(8,452平方マイル)の土地で、トラたちが自由に放浪し狩りをし、希望を抱いて子育てができるようにだ。トラたちが最近では、どこでも享受できなくなっている満悦の機会を、同地域は提供している。

カチン開発ネットワークグループ(KDNG)の報告にもあるように、ある唯一の穀物の栽培により、広範囲の森林が無分別に破壊されている。ビルマの有力な将官に親しい裕福な実業家、ユー・ハタイ・ミント氏が所有するユザナ(Yuzana)は、トラ保護区南部の20万エーカーの土地を引き継いだ。ユザナ統合農業計画は、軍事政府の承認のもと、2007年に始まった。

同社は、プロジェクト内に「グリーンゾーン」を造り、中に、労働者の簡易住まいや、工場、スーパーマケットを包含し、周囲に2メートルのコンクリート壁を巡らせた。会社とプロジェクト内の村民との間に争いが起こり、160を超える世帯が引っ越しを余儀なくされたと報告された。村民たちが立ち退くと、森林の綠は除草剤で刈り取られた。続いて、ユザナのブルドーザーと掘削機が地面を掘り起こし、瓦礫を拾い上げ、平された広大な土地が残った。

空地には、トラ保護区の看板だけが佇んでいた。「森林がたくさんあれば、そこは生物多様性のメッカである」というものもあれば、「山々も森林も奥深い。動物たちには、よい住処とよい食べ物が豊富である」というものもある。

機械により、土地の主なるブロック間に灌漑用の水路を切り開き両断したが、唯一、保護区内を貫いているトラが通り道にしているコリドーだけは残した。トラや他の動物たちが、うろつき狩りもできるようにである。保護区への脅威は、忘れられたわけではなかった。

2007年、世界的な保護組織、バードライフ・インターナショナル(鳥類の生息環境保護を目的に活動する国際環境NGO)は、ユザナの浸食について述べている。2008年3月に、幅2.4キロメートルで長さ80キロメートルの土地がほぼ完全に伐採され、サトウキビとバイオ燃料のヤトロファのプランテーションに植え替えられたと同組織は報告した。さらに、「2010年2月の時点で、農業計画内の動物街道に森林は全く残されていない。林野庁とWCSの看板が残っているだけだ」と述べている。

カチン開発ネットワークグループ(KDNG)の代表者であるア・ナン氏は、「フーコンでの破壊は、トラ保護区の信憑性を危うくしています。ユザナは、保護活動家たちが沈黙しているのをいいことに将官たちの援助を得て、何でもやろうとするのです」

来月、ペテルスブルグで開かれる世界トラサミットに提出される計画の中で、ビルマの軍事政府は、2022年までに国内のトラの生息数を2倍にすると誇らしげに語るであろう。しかし、この10月にWCSは、フーコンのトラ保護区に生息しているトラは、もはや100頭に足らず、昨年の150頭を下回ったと述べた。

WCSのコメントはない。
(翻訳協力 石塚信子)

【JTEFのコメント】
世界最大級のトラ保護区ができたと聞き喜んだのがついこの前だった気がします。人のアクセスが難しい急峻な土地だから保護区に指定できたと聞きましたが、そんなところまで開発の手が入っています。それもバイオ燃料にするためのプランテーションとは、地球環境を守るには森を残すことが重要なのに、間違っていると思います。来月のトラサミットでこの件は話し合われるでしょうか。WCSの意見が聞きたいです。

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