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「トラサミット」が終わって JTEFの考察

2010年12月13日

2010年11月24日、ロシアのサンクトペテルブルクで開催されていた世界トラ保護会議「トラサミット」が閉幕しました。

100年前には10万頭のトラが25のユーラシアの国々に広く生息していましたが、今では生息国は13に減少し、9亜種のうち3亜種が絶滅してしまっています。

現在およそ3200頭しか残っていないといわれる野生のトラ個体数を次の寅年である2022年までに倍増させる目標で、世界銀行の支援を受け、トラ会議が開催されたのですが、会議主催者のロシアのウラジミール・プーチン首相をはじめ中国の温家宝主席、ネパール、バングラデシュなど13のトラ生息国政府代表により「サンクトペテルブルグ宣言」が採択されました。

ラオスやバングラデシュ、ネパール等は貧しく、トラが救えるかどうかは西洋諸国からの寄付が不可欠です。今後これらの国々にトラ保護の経済的支援が行くように考えていかなければなりません。

会議では、この12年後にトラ個体数を倍増するという目標を達成するために必要な支援として、1億2700万ドル(USD)が、サミットに参加した国々や、関係機関から拠出されることが決まりました。レオナルドディカプリオもトラの為に100万ドルの寄付をすることを約束しました。

この会議で最も対照的だったのは、トラの保護に熱心なイメージを植え付けたロシアプーチン首相と、中国の温家宝主席です。

1945年代には30頭もいなかったアムールトラが現在では約500頭生息しているということで、ロシアのプーチン首相は自信を持って「政府の強い意志と市民の協力があればトラの個体数は回復できる」と述べました。かつてトラがいたイランやカザフスタンにもアムールトラを贈呈する約束もしました。

1945年代には30頭もいなかったアムールトラが現在では約500頭生息しているということで、ロシアのプーチン首相は自信を持って「政府の強い意志と市民の協力があればトラの個体数は回復できる」と述べました。かつてトラがいたイランやカザフスタンにもアムールトラを贈呈する約束もしました。

実際5か国の代表のうち、温家宝主席だけが記者会見に参加しませんでした。最大のトラ消費国である中国のトラ保護への考えが、今後のトラの未来を左右するだけに、一同を失望させました。

しかもこの会議では、まず今後5年間で32,900万ドル(US$)がトラ個体数倍加計画のために約束されましたが(ただし、純粋なトラのための新規資金というわけではなく、地球温暖化対策など既に環境保全関連資金として既に拠出が決まっていたものを含む)、世界銀行の下での新しい様々な経済支援メカニズムは同意されませんでした。そこで2011年の6月までに会合を開き、7月には長期的な資金計画を完成させ、12月にふたたび会合を持ち、トラ保護のための12年計画の進行状況を見ようということになりました。

今回の決議の実行が少しでも遅れたらそれだけトラが殺されるということです。NGO「フリーランド」代表のスティーブン・ガルスター氏は「この会議に1400万ドルも使った。その半分の700万ドルでも、どうして密猟取締に使えるようにできないのだろうか」と言っています。

イギリスのNGO「EIA」のデビー・バンクス氏は支援金や政府支援の約束をしたトラサミットに参加した政府代表たちが自国に結果を持ち帰った時に、今までと違った決定ができるかが問題だと言います。「警察や税関員を会議に招集し、何よりも野生動物保護を重要視するよう求めることができるのか。ここにきて決議を読むだけでは何の解決にもならない。」と。

ワシントン条約事務局のジョン・セラー氏も、ワシントン条約締約国会議の決定で、トラ生息国は2009年にトラの違法取引に関する情報提供をすると決めたのに、半数以上がこの決定を守らなかった、と述べています。

とにかくお金をかけてこれだけ立派に開催されたトラ会議、来年中には必ず今回の宣言を実行に移さないとトラの保護は絵に描いた餅でしかありません。トラも野生ではなく、絵の中でしか見られなくなってしまいます。

各国と国際関係機関が真剣にどう取り組むかをNGOとしてしっかり監視しつつ、支援先のインドでは現場で効果的な保護活動が行えるよう強力にサポートしていきます。

情報:
AP Nov.24 ‘ 13 nations sign declaration meant to save tigers’
Guardian Nov.24 World’s first tiger summit ends with $330m pledged amid lingering doubts
Guardian Nov.23 putom-tiger-premier-wen
AFP Nov.24


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