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ランタンボール内部の建築の中止、最高裁委員会が州に命じる

Times of India、2011年3月15日

ジャイプール: 最高裁によって制定された最高裁中央特別委員会(CEC)は州政府に、1972年野生保護法、もしくは最高裁の指示に違反するランタンボールでの活動を停止するように命令した。

CECのこの指示は、インド野生生物保護協会(WPSI)の事務局長ベリンダ・ライトにより申請された嘆願書に基づく。嘆願書で、ライト氏は、州森林局が法の条項に違反する国立公園での巨大な建設作業に取り掛かっていると主張した。ラジャスタン州の官房長であるS・アーマッドに対するCECの指示は州政府からの嘆願にも答えるように求めた。

情報筋によると、最近ライトが保護区を訪れた際に、1つ350万ルピーから750万ルピー(約675円~1446万円)かかる20基の大きなダムを建設する、森林局が請け負うプロジェクトのための巨大な建設工事に出くわした。そののち、彼女はCECとともに嘆願書を申請した。

森林局はすでに保護区で100個以上の小さな灌水用のダムと20個の池を建設している。ベルダ地区のバンワルダ・ダム建設のための掘削機と火薬を用いた発掘作業も行われている。公園内部での建築のために大きな掘削機と空気削岩機が使われ、爆破が行われており、野生生物専門家はこれらの作業が野生生物にかなりのストレスとなっていると指摘した。

「おそらくゾーン4へ向かう観光客の車両が使用しやすくするために、タンバカンの道路が、JCBの機器によって掘り起こされ広げられるのと同時に、いくつものセメント製の灌水用のダムと土を盛り上げて作ったダムが建築されている。」と、野生生物活動家は言った。

最高裁は2000年2月14日付の命令で、事前の最高裁の許可なしに保護林地区での木々の伐採やバイオマスの除去、その他の建築作業などのいかなる非森林活動も禁止した。

野生生物活動家は、現在保護地区で行われている建築作業は、とりかえしのつかないダメージをもたらし、ランタンボールの自然生態系を乱すと考えている。

ラカルダの先のアジ・ダガールアジ・ダカールの、ラカルダからバコラに流れる水路でも灌水用のダムが建設中である。しかし、この地区には、通年制の動物の水飲み場がいくつもあり、特に夏の数カ月間、野生生物の水の供給源となる。ここは、雌のトラのマクリ(T-16)が、水飲み場の周りで獲物を捕らえながら2010年の夏を過ごした場所である。

「建築が行われる予定の場所、もしくは行われている場所のすべてはトラの繁殖地である。これらのダムはそれらを完全にだめにするだろう。もし建築が始まれば、トラはこれらのテリトリーから出ていくだろう。最近、トラが保護区から遠くさまよい出てしまっている一因かもしれない。この乾性の植物相は、これらのダムに集まることになる過剰な水分にさらされると損害を受ける。同様に、土壌の含水量が増加し穿孔動物に大きな影響を与えるので、動物相も影響を受けるだろう。」と専門家は述べた。

しかしながら、森林局の関係者は去年の夏、保護区は水がほとんどなかったために深刻な状況にあり、天候の変化によりより深刻になる乾燥した夏に備えるために追加的な水塊が必要だと考えている。
(翻訳協力 瀧口暁子)

【JTEFのコメント】2011年4月
インドに生息するトラ個体数が1700頭と発表が先月ありました。激減してしまった原因の1つに、人口増加と開発で保護区外に生息できなくなってしまったことがあります。保護区内でこのような開発が行われてしまったら、トラたちはどこへ行けばいいのでしょう。トラはテリトリーを持つ動物ですから、青年になったトラたちは自分のテリトリーを持てずにうろついて交通事故にあったり、人間とトラブルを起こしたりして殺されるという報告も、たびたび入ってきます。保護区は野生動物たちにとって安住の地であってほしいと切に祈ります。


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