トラのニュース & JTEFのコメント
中国でアムールヒョウがカメラに捉えられる 1949年以来初
世界でも最も貴重な大型ネコ科動物の1種が、1949年以来初めて、中国でカメラに捉えられた。
2011年9月19日に撮影された写真には、中国北東部にある吉林省汪清県の森を歩き回る1頭のアムールヒョウが写っている。
ロシアと北朝鮮の国境付近にある汪清県の森で、チョウセンヒョウとも呼ばれるアムールヒョウの写真が撮影された。このヒョウは成獣で、北京大学の研究者が仕掛けた自動赤外線カメラに写っていた。
この研究者、スン・ゲ(Sun Ge)氏は、この写真は思いがけない幸運だったと述べた。「私は県内の3か所の森で草食動物の研究をしていまして、アムールヒョウの写真を撮ろうなんてまったく思っていなかったんです」と明かした。スン氏は春に40個のカメラを森の中に設置し、20日ごとに映像を回収していた。ヒョウが撮影されたのは9月19日である。
野生で生き残っているアムールヒョウ(Panthera pardus orientalis)は50頭に満たず、そのほとんどはロシアに住んでいる。このネコ科動物は学術的には中国では絶滅したものとして分類されているが、中国とシベリアの国境付近ではおよそ10頭ほどが生きている可能性がある。
冬季にはアムールヒョウの毛は3インチもの長さになり、その毛皮は密猟者たちの間で珍重されてきた。また、厚く降り積もった雪の中を歩き回るためだと思われるが、足も長くなる。雄の成獣の体重は最大165ポンド(約75kg)に達する。
中国の東北林業大学教授で世界自然保護基金(WWF)トラヒョウ部門の上級職員であるジアン・チャンシュン(Jiang Changshun)氏によれば、過去2年間、吉林省東部の森で雪や泥の上に何頭かのアムールヒョウの足跡が見つかっているという。
「写真からはヒョウが汪清県の森で何をしていたかはわかりませんが、この森にはほかにもヒョウが生息しているものと考えています。ヒョウは普通、家族単位で生活しています。「今後さらに詳しく調査して、これらのヒョウが中国国内に住んでいるのか、それともロシアから国境を越えてやってきたのかを特定する必要があります」
ジアン氏は、中国にもっと多数のアムールヒョウが生息していることには望みが持てるが、近年はこの種に関する研究はほとんど行われていないと述べた。ほとんどの研究はトラに集中しているという。
中国当局は迅速に対応し、汪清県の付近を保護するために国立自然保護区を設立した。イギリスでは、コルチェスター動物園に繁殖可能なアムールヒョウのつがいがいる。
(翻訳協力 木田直子)
わずか30頭とも言われているアムールヒョウ。迅速に中国が自然保護区に指定したことは称賛に値しますが、餌となる動物調査など今後もずっとフォローし続け、また何か報告があることを期待します。