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インド州政府トラ密猟者を見つけ次第銃撃OK

Associated Press、2012年5月23日


ニューデリー(AP通信 5月23日) インド西部の州は森林保護官がトラやゾウ、その他の野生動物の横行する密猟を止めるため密猟者を見つけ次第撃ってもよいと宣言した。

マハラシュトラ政府は、その結果密猟容疑者を負傷させ、殺しても罪にならないと言う。

「森林保護官は密猟者に対するアクションをとった場合、人権侵害されたとみなし逮捕されるべきではない。」とマハラシュトラ州の森林大臣パタングラオ・カダムは述べた。州はまた森林局に今まで以上のレンジャーとジープをおくり、密猟者や密輸業者の情報提供者に報奨金を与えると述べた。

インドは世界中のトラ個体数3200頭の半分のトラが、1970年代から設立した何十もの野生生物保護区にいる。しかしトラの身体部分を漢方薬が高価にブラックマーケットで売られるため、密猟は驚異となっている。

WPSI(NGOインド野生生物保護協会)によると今年すでに14頭のトラが殺されているが、この数は2011年全体数より多い。トラは生息地がここ25年間で50%以上縮小し、1990年代には5000ー7000頭と言われていた個体数(IUCN)が激減し絶滅の危機にある。

今年密猟で殺されたトラのうち8件は、インド、マハラシュトラ州で起こっている。先週も、タドバ・トラ保護区で頭や足とともに切り刻まれたトラが見つかったが、トラ保護区森林保護官は40頭のトラが生息しているこの保護区で罠も発見している。

トラの身体各部は漢方薬になり、非常に高値にブラックマーケットで売られているが、多くの動物もまたインド国中の密猟者の餌食となっている。インドサイや、牙を持つオスゾウ。またヒョウ等の大型ネコ科動物も密猟されたり、家や家畜を襲われるのを恐れた村人に毒殺されている。

しかし、森林官と密猟者が相対するのは非常に稀である。密猟者たちは夜行性のトラを捕まえるため夜間に活動する、とマハラシュトラ州の森林保護官チーフSWHナグビは言う。

「私たちは密猟者と顔を合わせることは滅多にありません。」と森林官は実際に銃を撃つというのは稀だろうと予測する。むしろ、彼は州政府が新しく500万ルピー(約9万ドル900万円)をつけた情報提供者への予算に「今までは情報が非常に少なかったのですが、この報奨金は大いに助けになるでしょう」と期待する。

【JTEFのコメント 2012年5月】

「レンジャーが密猟者を殺しても罪に問われない」との宣言は、このところ激しさを増す密猟に対する強い警告といえます。実はインド北部、中央部、西部に勢力を持ち、これまでもトラの密猟を行なっているバハリアと呼ばれる集団が、その背後にいるバイヤーに雇われてマハラシュトラ州でトラの密猟を大規模に行おうとしているという情報があり、今回の宣言は州政府がこれに対応したものです。これは密猟者に対する警告としてだけでなく、レンジャーたちへのバックアップと叱咤激励でもあるでしょう。しかし、より重要なのは情報提供者への報奨金の増額です。事前に密猟者の存在と動きを察知することで密猟が予防でき摘発も安全・確実に行えます。このように、命をかけて最前線でパトロールしているレンジャーへの支援を、JTEFも続けていきます。


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