トラのニュース & JTEFのコメント
中国で電気死刑されるトラが増加
中国警察は、娯楽のために客の面前でトラを殺して解体し、トラの部位が本物であることを証明していたグループを逮捕した。グループのリーダーの一人は、活動していた6年間で少なくとも10頭のトラを殺しているが、警察に逮捕されると知り、自殺した。
このグループは2006年に中国南部の広東省雷州市で結成されたと思われる。リーダーの一人は61歳のHuang Fengで、トラを何頭も殺すことになった死刑執行用の檻を設置した。トラたちは金属製の檻に入れられ、水をかけられ電気処刑された後に解体された。Feng は警察が自宅に向かっていると聞くと、屋根に駆け登り飛び降りて自殺した。
15人のこのグループは、広東省雷州市Fuchengの村民で54歳のChen Moufeiが率いていると思われる。地元のメディアは、省に輸入された、絶滅が危惧されているベンガルドラを使用していたと報じている。警察はどこから輸入されたトラなのか、野生から捕獲されたのか、それとも飼育下繁殖されたものなのかについては語っていない。
一味は、最も成熟した状態の約68.1〜90.8kgの重さのトラを、1頭当たり最高値3万ポンド(現在1 ポンドは172.4円 約5,172,000円)で購入していたという。購入されたトラは鎮静剤を打たれて都心部へ送られ解体ショーに出された。クライアント向けの解体ショーに約4万ポンド(6,896,000円)の料金を取り、トラを殺し解体していた。
一味は金持ちのビジネスマンや役人向けにサービスを行っていた。地元の新聞であるNanfang Dailyは、政治的またはビジネス関連の人々が集い、時々、単に娯楽として、そして自分たちの富をみせびらかすために、人を雇ってはトラを殺すことは、雷州市では公然の秘密であると伝えた。
また、ある解体ショーの1つに招かれた際に、「町の外に」いたことを悔やんだ地元の政府関連の高官について引用している。「トラが殺されるのを目撃した友人がかつて電話をしてきました。でもわたしは仕事で町の外に出ていたので、その機会を逸しました」とChenと呼ばれる政府高官の男は述べた。「『ライブショー』を見る機会を持てなくて非常に残念です」とも付け加えた。
警察のスポークスマンであるLong Sheは「トラは体の部位を新鮮に保つため、生きたまま輸送されました。買い手が本物のトラであることを確実に確認できるようにしたのです。ほとんどの買い手は、一味の活動領域内の人間です」と語った。
「われわれが調べた限りでは、一味は2006年に活動を開始し、10頭を超えるトラを殺していることを確認しました。実際にはもっと多くのトラを処刑していると思われます。中国の法律下では、トラは1等級の絶滅危惧種になっています。トラを密猟したら死刑になります」と同氏。
警察が押収した証拠品の中には、2012年に行われたトラの電気処刑の模様を映したビデオが含まれている。
【翻訳協力】石塚信子
【JTEFコメント】
中国政府がトラの保全を言っても、こういう報道がされると絵空事にしか思えません。まして政府高官が解体ショーを見られず残念がっている様子などは、中国の地方政府内で野生生物保全に対する認識が全く浸透していないことがわかります。野生生物を金持ちを呼ぶ道具としてしか扱わないとは、西の方角を守護する白虎への畏敬の念がみじんも感じられません。
2014年7月7日からジュネーブ(スイス)でワシントン条約常設委員会が開催され、トラの保全について議論されています。2000年以来生きたトラを含めトラの違法取引は増えているということです。2000年~2014年に押収されたトラ(製品)をトラの数に換算すると1590頭。野生のトラの3200頭(2010年)を考えると、恐ろしい数といえます。