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2頭のサイがカジランガ国立公園で殺された

テレグラフ紙、2009年12月15日

 グアハティ発。12月14日。2頭のサイの死体が、カジランガ国立公園で発見された。1頭は公園内で今朝、もう一頭は公園の周辺で昨日である。

 一頭の角を失ったサイが、今朝カジランガ公園内のアゴラトリ・レンジに位置するドゥラマリ密猟対策キャンプ近くで見つかった。密猟者は、昨晩、サイを殺したと思われる。もう一つのサイの死体は、昨日、コホラ・レンジの周辺にあるバゲタポで発見された。

 国立公園当局は昨晩殺されたサイが密猟の犠牲となったことを否定するが、われわれの情報源によればサイには複数の銃弾で傷を負った跡があったという。

 我々は、昨日この地域で銃声を耳にした。サイの死体には、あきらかに銃弾の跡があり、その角はぶった切られていた。「疑いなく密猟だ」と森林監視官は述べる。さらに彼の語るところによれば、サイの死体はコホラ密猟対策キャンプとドゥラマリ密猟対策キャンプの間にある橋から100メートルほど離れた草地で発見されたという。

 カジランガ当局はジャーナリストの一団に公園内に入ってその殺されたサイ2頭の写真を撮る許可を出さなかった。ジャーナリストたちは地域の地区森林官であるD. ゴゴイ氏に何度も連絡を取ろうとしたが、失敗した。

 記者たちとカメラマンたちは、そこでカジランガの地区の小区分であるボカカット準地区森林官のムリダル・マハンタ氏に抗議して、もし自分たちを公園内に入れてくれないのならこれから開かれる象祭りの取材をボイコットするとおどした。そこで彼はそのあと折れてでて、治安判事に同行を委任することでジャーナリストが現場に立ち入ることを許可した。しかし、カジランガ国立公園長のS.N.ブラゴハンは、ディスプル(アッサム州の州都。つまり本庁にあたるアッサム州の森林局)からの許可も必要だといって、下部地域職員の許可をひっくり返した。ブラゴハン氏は、また、その時刻には公園は日が落ちて暗くなっていたので安全上問題があるとも言った。

 もう一頭のサイの死体は、昨日、コホラ・レンジの周辺にあるバゲタポで見つかった。遅きに失した公開ではあるが、この晩、職員の情報源に寄れば、このオスのサイ一頭には複数の銃弾の跡があったという。しかし、密猟者たちは角を持ち逃げすることに失敗した。サイは、12月10日木曜日、公園からさまよい出てしまった。

 もう一頭のサイもまた、迷いでてしまい、12月12日土曜日、ヌマリガル周辺で最後に目撃された。このヌマリガル周辺は、ゴラガート地区(カジランガ国立公園を含むアッサム州の1地区)から20kmほど離れたところにある。

 とかくするうちに、12月11日金曜日、メスのサイ一頭がオラン国立公園から60kmほど離れたところをさまよっていたが、今朝早く、4日間の放浪劇を終えて、そのすみかに戻ってきた。「私達の監視員は、このサイの足跡をたどって、バーバプルの境界線を抜けてオラン公園内に入りました」と、オラング地区森林職員のシュシル K. ダイラ氏は語った。

 彼の述べるところによると、この足跡がまさにこのサイのものであることは、それが国道52号線で見つかったことから、まず間違いないという。サイは、昨晩国道を横切り、コパティ茶園を経由して公園に入ったのである。今日見つかった2頭のサイの死体を加えると、密猟者は、今年カジランガで12頭のサイを殺してしまった。2007年には18頭のサイ、2008年には6頭のサイが、密猟者に殺されている。

 しかし、情報源によれば、国立公園でのサイの密猟数は、死んだサイが自然死であって密猟者によるものでないとしてこうした密猟事件をもみ消そうとする当局の発表があるため実際にはずっと多いという。

 「サイが密猟者に殺されても当局に自然死と見せかけられた例はたくさんあります。サイが死んでから、その死体の中に埋まった銃弾のありかを特定することは、難しいのです。銃弾が見つからなければ、その死は自然によるものであるとされます」と、一人の上級森林局は言う。

 だが、カジランガにおけるこうした状況の一筋の光明は、感動的なことにサイの頭数が増えていることである。今年行われた頭数調査によれば、当公園内では2,048頭のサイが発見された。3年前、以前の頭数調査が行われたときには、2,000頭を下回るとおおまかに言える程度だった。

さらに2頭のサイがカジランガ国立公園で殺された
インディアン・エクスプレス紙、ニューデリー発、2009年12月22日

 グアハティ発。「密猟者がアッサムのカジランガ国立公園内で2頭の一角サイを殺しました。これで、今年当公園内で殺されたサイの頭数は、14頭となります」と、12月21日月曜日、森林局職員は述べた。2頭のサイの死体は、オスとメスで、両方とも角を抜かれていたのが、アガルトリ・レンジの森林監視官たちによって発見された。

 監視官たちは、12月14日月曜日、公園内で二人の密猟者を銃殺した。
(翻訳協力 蔦村的子)

【JTEFのコメント】
相変わらず漢方薬に利用するためサイの角目当ての密猟は後を絶ちません。問題は、保護区の管理者が自分たちの責任を問われないように、密猟と認めず自然死だと主張することです。ジャーナリストやJTEFが支援しているWTIのようなNGOが実態を追及する姿勢を徹底することが重要と言えます。その一方、批判するだけでなく、現場へのサポートを並行して行うこと、つまりパトロールするレンジャーは組織化された密猟団に闘う知識、技術、装備を提供していくことが重要です。

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