野生動物・保全問題のニュース & JTEFのコメント
ケニアの希少サイの角切断に密猟者たちは不満
4頭の非常に希少なキタシロサイがチェコの動物園からケニアに移送され、密猟対策で角が切りとられたと、保護区関係者が語った。
「ケニアでは、サイの密猟が増加しており、われわれは単に危険を冒したくないのです」と、動物たちが環境に順応できるかどうか監視しているオルベジェタ自然保護区のエロディ・サンペール(Elodie Sampere)氏がAFPに語った。「角がないサイは、密猟者にとって何の価値もありません」とエロディ氏。
キタシロサイは大変希少なシロサイの亜種で、世界の動物園で8頭が飼育されている絶滅危惧種である(訳注:野生下での確認は途絶えている)。オスとメスが各2頭ずつのこの4頭のサイは繁殖に成功するようにとの希望の中、ケニアに移送された。
アフリカ東部のケニアは、世界で三番目にサイの生息数が多い。約600頭のクロサイと300頭のシロサイがいるが、2009年は12頭のクロサイと6頭のシロサイが殺され密猟件数が過去最多の年であった。今月も10才のシロサイを殺し角を切断した容疑で密輸組織の12人が逮捕された。
アジアや中東では、角が発熱やひきつけに効く漢方薬の材料として、また催淫剤として需要が高く、それが密輸に拍車をかけている。
しかし、4頭のキタシロサイの角を切り落としたことで、角が上向きに伸びてくるという利点もあるとエロディ氏は言う。「動物園にいると、角をこすりつける樹木がないため、全部のサイの角は上向きに伸びないのです。」と同氏。
保護区関係者によれば、自然保護区に放たれた四頭の切断された角の根元にはマッチ箱サイズの送信機が埋め込まれ追跡調査ができるようにしているとのことである。
(翻訳協力 松崎由美子)