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スローロリス取引 日本の状況

可愛い動物の映像が違法売買を増加させているAEST、2011年03月10日

スローロリスはインターネットで人気者になった可愛らしい動物だが、飼うと懲役刑の罪に問われることもある。

目の丸いスローロリスは特に大人気で「Tickling Slow Loris」に始まったユーチューブの一連の映像は600万回以上のアクセスがある。

最新画像の一つに小さな傘を持って遊んでいるスローロリスを飼い主が撮影したものがある。スローロリスの飼育は国際自然保護連合などで禁止されており、このような映像が動物の違法売買を促進するのではないかと懸念している。

「それを(ユーチューブで)見た人は自分も飼ってみたいと思うでしょう。」
人類学者のアンナ・ネカリス博士は世界的に有名な環境保護サイト、MONGABAY.COMで語った。

「人々は保護動物をペットと勘違いし、スローロリスを飼うのは合法だと思うでしょう。」
実際、オーストラリアではスローロリスの飼育は約435万円の罰金を科されるのです。動物の権利保護連盟NSWのスポークスマンは言う。「外来生物保護法1987によればスローロリスの輸入や所有はニューサウスウエールズの許可が必要です。認可なしにスローロリスを所有したり輸入したりすると罰金約435万円もしくは懲役6か月、あるいは両方を科されることもあります。」

動物の違法取引が日本では盛んで、取引額は一匹当たり約39万円程度である。ユーチューブで使用されている画像のほとんどは日本で撮影されたものであるといわれている。

スローロリスは東南アジアに生息しており国際自然保護連合で希少種に分類さており、ジャワ・ロリスsは絶滅の恐れのある種として登録されている。

スローロリスの映像が違法取引ブームを引き起こしている

2011年3月22日火曜日 AFP

ユーチューブの「アイドル」が絶滅危惧種の売買の火付け役である。
絶滅危惧種のスローロリスがジャカルタの市場で他の動物と共に売りに出されている。愛らしい柔らかな毛でおおわれ、大きく丸い目をした小さな動物だ。体をくすぐるとうれしそうに喉をごろごろ鳴らす。ユーチューブで人気をよび、取引が激増しているが、これは冷酷な動物虐待である。

スローロリスは東南アジアに生息する霊長類でネット上の人気はカナダの俳優ジャスティンビーバーと匹敵するほどだ。体をくすぐられた映像は600万を超えるアクセスがあった。今月更新された最新画像ではスローロリスがカクテル用の飾り傘にしがみついているもので現在200万を超えるアクセスがある。

ネットでの人気によってロリスは子供たちの間で野生動物から生きたおもちゃに変わりつつある。しかし霊長類は決してペットであってはならない。

密漁者はロリスの野生の赤ちゃんを親から奪い、インドネシアの青空市場で売る。そのときの取引額はおよそ1,360円である。

日本への輸出は最も利益が上がる。ロリスはおよそ47万6000円になる。このような取引が米国やヨーロッパにも広がり、違法に密輸されたロリスの存在が英国で報じられた。

しかし多くのロリスは輸送に耐えられず生き延びることができない。「映像の中のロリスが人にかみつかないのはペンチで歯を全部抜かれているからです」霊長類の取引撲滅キャンペーンを行っているトラフィック東南アジアのクリス・シェファードは言った。

国際自然保護連合で希少種として登録されているロリスは歯に毒を持つため歯を抜かれる。シェファード氏によれば抜歯による感染症で死に至るケースが多いという。「ほとんどのロリスは歯を抜かれた後生き延びることができないのです。」

人類学者のアンナ・ネカリス博士はオックスフォード・ブルックス大学の霊長類保護運動の中心人物である。彼女によれば、ポーランドやロシアでも組織的な密輸取引が行われているという。「私はタイのマーケットを訪ねたとき、彼らからロリスをイギリスに持ち込む方法をアドバイスされました。

カクテル用の飾り傘にしがみついているロリスは頭にけがをしていました。おそらく檻に入れられて輸送されたのでしょう。映像の中のロリスは楽しそうに見えますが、ストレスに耐えるための防衛機制が働いて体をくすぐられても抵抗しないのでしょう。

ロリスは夜行性なので映像では日光で目がよく見えていないはずです。意識もはっきりとせず飾り傘を見慣れた自然の竹と思いこんでしがみついているのです。

たとえ生き延びたとしても自活することができないので一度人にとらえられると野生動物には戻れないのです。生まれて間もなく両親から引き裂かれたから自分の体をきれいにしておくこともできず、体は尿や排泄物にまみれているのです。

ネカリス教授はロリスの映像が不法取引を促すものであるとして、ユーチューブに画像を流すのをやめるよう要請している。シェファード氏は「ロリスは今もインドネシアの市場で公然と取引されており、ユーチューブの画像はロリスの需要を高めている。この違法取引を取り締まることは野生動物保護団体の緊急の課題である。罰則は動物を没収するだけだは不十分である。」と語った。

ユーチューブのスポークスマンによるとユーチューブは独自のガイドラインに従っており、動物虐待の画像を掲載することは禁じられているという。

ガイドラインを無視した画像があれば、一時間以内に削除されるという。ユーチューブはロリスの画像については何もコメントしなかった。
(翻訳協力 山崎千佳)

【JTEFのコメント】2011年4月
野生動物は見ためがいくら小さくてかわいくても犬や猫のようにペットにはなりません。野生の世界で生きる動物です。しがみつくのは飼い主に慣れたからでも不安だからでもなく、木にしがみつく習性があるからです。スローロリスへのペット需要が急激に増えて2007年のワシントン条約会議で取引禁止になりました。ペット目的の密猟と違法取引が横行し、原産国で激減したからです。可愛い、飼いたいと思う時、その野生動物の立場に立って、その動物の本当の幸せは何かを考えることが基本です。答はひとつ。自然の生息地で暮らすことです。一方的で身勝手な「愛情」で、彼らの幸せを奪うことがあってはなりません。


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