野生動物・保全問題のニュース & JTEFのコメント
2014年夏にニューヨークで、フカヒレの販売禁止が開始
アメリカ最大のチャイナタウンの1つであるニューヨークで、絶滅のおそれのあるサメのヒレから作るフカヒレスープの販売が禁止された。この法律で多くのサメが保護される。
ニューヨーク州オールバニー ニューヨークは、海洋の「捕食者」を保護するために努力してきたが、来年の夏に、フカヒレの取引を禁止する。
フカヒレは、中華料理で有名なスープに使われているが、ニューヨークはチャイナタウンの本拠地であり、アメリカ最大のチャイナタウンの1つがある。推定で7,300匹のサメが世界中で殺され、市場の需要に合わせようとしている、とアンドリュー・クオモ知事は金曜日、法律に署名した。
いわゆる「サメのヒレを切り落とす」とは、サメを捕獲し、そのヒレを切り落とし、本体を水中に戻して死なせることをいうが、この行為は、既にアメリカ合衆国やニューヨークの沿岸域では違法となっている。ニューヨークはまた、多くのサメの種の娯楽の魚釣りも禁止している。
「その過程は残酷なだけでなく、また海洋の生態系の自然のバランスにも影響を与えている。」とクオモ知事は述べた。
この法律は7月1日に発効する。北大西洋に最も多いサメであると考えられている小形のサメのうち、2種類から採れるヒレの販売を許可することにより、いくらかある需要に配慮している。
「例外のない方が、フカヒレの販売禁止の法律の効力は強まる。しかしこの法律は、圧倒的に大多数のサメを保護することになる。」とアメリカ合衆国の動物愛護協会のパトリック・クワン氏は述べた。フカヒレはぜいたくな料理であると考えられ、ほとんどの料理人は小形のサメを使わないとクワン氏は述べた。
マンハッタンのチャイナタウンのあるレストラン支配人は、他の州で伝統的な珍味を禁止し始めたために、フカヒレスープを段階的に廃止してきたと述べた。
「われわれが目下のところフカヒレをあまり使っていないのは、」とグランド・ハーモニー・パレス(レストラン)の経営者トニー・チェン氏は述べた。「そんなに多くの人がフカヒレを求めていないからである。」
チェン氏は、それはフカヒレスープがかなり高価だからである、と述べた。小さな器のものでも少なくとも80ドルはする。そして、カリフォルニアや他の西海岸の州がフカヒレを禁止しているため、調達するのが困難になってきたからである。
チェン氏は、ニューヨークの禁止法が発効したら、フカヒレの販売を中止するであろうと述べた。
その通りを上がった所にあるピン氏のシーフードの店の接客係であるリッキー・ツォイは、自分が働くレストランでは5月にフカヒレスープを提供するのをやめたと述べた。そして、ほとんどのディナー客はサメを保護する必要性を認識していると述べた。しかし依然として、フカヒレスープを求める人はいる。
「ディナー客は、フカヒレスープがないのを寂しく思っている。」とツォイは述べた。「中国文化においては、フカヒレスープは健康によく、美味である。」
他の7つの州やアメリカ合衆国の太平洋の領域では、フカヒレの取引を禁止している、とクワン氏は述べた。それは、カリフォルニア州、ハワイ州、イリノイ州、メリーランド州、デラウェア州、オレゴン州、ワシントン州、サモア島、グアム島、それに北マリアナ諸島である。
環境保護グループは、食物連鎖からサメがいなくなれば、他の魚が増えて、海洋の生態系に損害を与えうると述べた。
「困難な状況にあるサメの個体群のために、とうとうサメの捕獲中止が実現した。」と国際NGOであるWildAidの代表ピーター・ナイツ氏は述べた。「ニューヨークは、アメリカ合衆国のフカヒレの最後の主要な市場であるが、閉鎖されることになる。このことは、宴会からフカヒレを締め出してきた中国を後押しし、フカヒレの需要を減らすために、中国はさらなる行動を取ることになる。
フカヒレスープは、主に結婚式や宴会で出されている、とニューヨーク市に本拠を置くアジア・アメリカ・レストラン協会長のピーター・ハウ氏は言及した。
「われわれは法律に従うつもりである。」とハウ氏は述べた。「もしフカヒレがなければ、他の何かを使うつもり、おそらく、カニのようにもっと新鮮なシーフードを使うだろう。」
【翻訳協力】日原直子
フカヒレは美味で高価な料理ですが、日本では今、かなり安く食べられる店もあります。また、ここのところ中国政府はフカヒレの需要抑制に熱心に動き始めています。日本でもフカヒレは高級食材としてよく知られていますし、インスタント物にも使われてもいます。このように国内消費もある反面、実は日本は世界でも有数うのサメ捕獲・フカヒレ生産国で、大部分を輸出しているといわれます。フカヒレ漁はその残酷さ(水中に捨てられたサメは溺死する)も問題ですが、サメが魚類であるにも関わらず繁殖力が非常に低く、乱獲に対してもろい生き物であることも忘れてはなりません。