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野生動物・保全問題のニュース & JTEFのコメント

密猟者は、位置情報が付いた旅行者の写真でサイを追い詰められる

Leslie Horn, Gawker Media  2014年5月7日

南アフリカのヨハネスブルクにあるブランド構築およびマーケティングの会社を経営しているEleni de Wetがインターネットに掲示した旅行の写真は、インターネット上を1人歩きし始めた。密猟者が、技術を駆使して、絶滅の危機にあるサイを見つけて殺害するのに活用していたのである。観光客がインスタグラムを利用して撮影したデジタル写真を、ソーシャル・ネットワーキング・サービスで共有すればどうなるだろうか。大問題である。密猟者が実際にサイを狩猟するのに役立てるかもしれないからだ。

これは決して新しい問題ではないが、困ったことに問題は悪化しているのである。クォーツ新聞が指摘しているように、密猟件数は増加している。南アフリカでは昨年だけで、1000頭以上のサイが殺害された。2012年よりも42%多い。位置情報が付いたジオタグ・データ、そして撮影時の条件情報を画像に埋め込んだイグジフ・データが誤って写真に残っていることがよくあるが、この新しい技術は、われわれがサイを保全するのに必ずしも役立っていないということである。

【翻訳協力】 日原直子

【JTEFのコメント】
 旅行先で撮った写真をSNSにアップすることは何気なく誰もがやっていますが、そこに取り忘れた位置情報が密猟者を喜ばせているという話です。このような事例は全世界で問題となっていくことでしょう。哲学的には一部の探検家を除いて、人跡未踏という世界が地理情報のグローバルな共有によって、ますます喪失しつつあることを示す現象といえます。そして、保全の実践としては…解決が極めて難しい問題と言わざるを得ません。観光目的でのGPS付機器の持ち込み規制はどの程度可能でしょうか。コアエリアに限定したとしても実効性の確保は容易ではありません。普及啓発は絶対的に重要だが、果たしてどれだけの人が協力してくれることでしょうか…。

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