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イリオモテヤマネコのニュース & JTEFのコメント

年末年始に2頭のイリオモテヤマネコ(子ネコ)の死体発見

環境省那覇自然環境事務所報道発表、2010年1月6日

2009年12月26日9時過ぎ、西表島の船浮集落付近でイリオモテヤマネコの子ネコの死亡個体が発見された。死亡原因は現在のところ不明。

また、2010年1月3日7時20分ころ、西表島県道白浜南風見線の古見~大富間で、交通事故にあったと見られるイリオモテヤマネコの子ネコの死亡個体が発見された。
交通事故による死亡が疑われる個体が確認されたのは、2009年7月以来。周辺の路上では、2009年10月末頃から2頭のイリオモテヤマネコの子ネコが頻繁に目撃されており、環境省西表野生生物保護センターが交通事故防止を呼びかける看板やのぼりの設置、路上アピールなどを実施していたところだった。現場周辺にはまだ1頭の子ネコがいるものと思われるという。

冬期はオスネコの発情時期にあたり、その活動が活発になる。また、子ネコが独立する時期でもあり、ヤマネコの交通事故が発生しやすい傾向にある。なお、1年を通じて、夜間にはヤマネコの活動が活発になる。

環境省は、西表島での自動車運転の際はスピードは控えめにすること、注意喚起の看板やのぼりの周囲は特に注意すること、イリオモテヤマネコ目撃、交通事故、死体発見などの際には、365日24時間いつでも、西表野生生物保護センターに連絡することを求めている。

【JTEFのコメント】
今年1月3日の交通事故死確認は、2009年7月22日(子ネコ)に続くものです。イリオモテヤマネコの数はわずか100頭程度ですから(子ネコは含まない)、将来を担うかもしれない子ネコが死んでしまうと、たとえ1頭でも種の保存にとって大きな打撃になります。交通事故は、生息地の消失・分断化とともにヤマネコに対する大きな脅威です。

子猫がはねられた事故現場付近
子ネコが車にはねられた事故現場付近。道路工事が進んでいる

昨年末に子ネコの死体が発見された「船浮」地区は、もともとヤマネコにとって好適な環境であり、また琉球大学と林野庁の自動撮影調査や痕跡調査の結果からも、定住個体がいることが推測されていた場所でした。しかし、集落の裏側の「イダの浜」をはじめ、観光利用が近年急速に進んでいます。2008年には、集落以外の大部分が本土資本のリゾート開発業者である「ユニマット」に買い占められ、リゾート施設が建設されるのではないかと今後の動向が注視されています。

今回死んでしまった子ネコの死はとても残念なことですが、「ここはヤマネコにとっても大切な場所だよ」と訴えているような気してなりません。ヤマネコの生息を脅かすようなリゾート開発が行なわれないよう、関係行政機関に提言していきたいと思います。

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