イリオモテヤマネコのニュース & JTEFのコメント
イリオモテヤマネコの交通事故死、今年に入って2件目
環境省那覇自然環境事務所、2010年2月17日
2010年2月14日20時頃、県道白浜南風見線与那良橋付近でイリオモテヤマネコの交通事故が発生した。事故にあったヤマネコはオスの亜成獣(体重 3,360g、全長845mm)で、事故発生後、ただちに西表野生生物保護センターに通報され、同センターで治療が行われたが、死亡した。発情期のオスや放浪中の個体がよく道路に現れる。今回死亡したヤマネコはなわばりを求めて放浪中の若い個体と思われ、道路の危険性認識などの経験が浅かったと思われる。
【JTEFのコメント】
イリオモテヤマネコの交通事故は、2010年に入ってから2件目です。1月3日に島の東側(大富)で1頭が交通事故で死亡しているのが発見されていました。今回事故が起きたのは、ヨナラバルと呼ばれている区域でした。ここは、与那良川を中心に県道より南側に水田・休耕田が広がっています。与那良川は両側がコンクリート護岸になっており、藪状の河畔林が残っているほかは、海岸林まで連続する森林がほとんどありません。その結果、移動経路及び餌場となる河畔林・沢筋と、餌場となる周辺の休耕田・水田等の湿地との間の移動がしにくくなっています。それでも、放浪個体(なわばりを持てないでいるネコ。おもに若いオス。)が一時的に滞在し、水田等の湿地を餌場として利用しているようです。今回死亡したのも大人になりかけの若いオスでした。 広い島ではありません。住みやすいとはいえない環境であっても、ヤマネコも生きるために懸命に活用しているのでしょう。
今後の対策として、交通事故防止のための注意を呼びかけていくとともに、ヨナラバルの環境もヤマネコに配慮した形で整備していく必要があります。
この区域には土地改良の計画もあります。JTEFが支援する「イリオモテヤマネコ生息地保全調査委員会」は、道路を挟んで海岸林と後背森林をつなぐ、わずかに残された与那良川河畔林の伐採を避けることや、与那良川の護岸を将来的には植栽を伴う緩傾斜とすることなどを提言しています。