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西表動物診療所が10周年、ヤマネコ感染症対策、保護に大きな功績

八重山毎日新聞、2011年7月22日

 西表動物診療所10周年記念報告会・感謝状贈呈式が21日午後、竹富町役場で開かれた。報告会では県獣医師会の平川宗隆会長と同八重山支部の平田勝男支部長、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄の長嶺隆理事長が10年間の活動実績と今後の課題を報告。川満栄長町長は「10年間の活動で世界に誇れるレベルになったことに感謝している。今後も協力をお願いしたい」と礼を述べ、同支部とNPO法人に感謝状を贈った。

 2001年に開設した同診療所はヤマネコへの感染症予防のため10年間で避妊手術185件、去勢154件、ウイルス検査1217件、予防接種603件、マイクロチップ装着293件を実施。  1月31日現在、島内の飼いネコ267頭のうち、避妊手術95.9%、去勢95.9%、マイクロチップ93.3%、ワクチン接種91.4%、ウイルス検査98.5%と高い達成率を維持している。

 活動費は九州地区獣医師会連合会がツシマヤマネコとイリオモテヤマネコの保護に向けて会員4200人から毎年1000円ずつを募り、その中から毎年約200万円が同診療所に充てられている。  報告会では平川会長が「飼いネコのコントロールは世界に誇れるレベルに達しているが、今後も何らかの方法を続けていく必要がある。引き続き協力をお願いしたい」と要望。

 川満町長は「世界に誇れるレベルに達したことは感動的だ。ヤマネコとの共存共栄は大変重要で、世界に誇れる達成率を維持し、大切に守っていく心を引き継いでいきたい」と礼を述べ、感謝状を贈った。
 長嶺理事長は「10年間、地道に行ってきたことと登録制度を続けてきた成果だ。地元に常駐し、戸別の飼育状況を把握できたことも高い達成率につながったと思う」と話した。
 平田支部長は「九州獣医師会連合会からの補助がいつまでも続くわけではなく、地元としても将来にわたって現状の体制を維持できるような方策を考えてほしい」と述べ、予算確保やヤマネコの飼育・繁殖に向けた取り組みを提言した。

【JTEFのコメント】

 イエネコからイリオモテヤマネコへのウイルス感染を防ぐための対策は、竹富町が環境省の協力を得ながら実施しています。しかし、そのための財源は、九州獣医師連合会に大きく依存してきました。今後は、竹富町が「イリオモテヤマネコ保護基金」(JTEFのイリオモテヤマネコ保護基金とは別です)を設立し、「ふるさと納税」(地方自治体への寄付)の一部や、今年からは「やまねこマラソン」参加費の一部を財源に充てることにしています。こうした継続的な対策にとって安定的な財源確保は非常に重要な課題です。


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