イリオモテヤマネコのニュース & JTEFのコメント
後良川の取水量算出へ 水源地基礎調査が完了
竹富町建設課(東船道博昭課長)はこのほど、2011年度西表島水源調査結果をまとめた。東部地区の後良(シーラ)川上流で流量観測を行い、基礎資料をまとめたもので、年度内にもこの資料と30年分の雨量データをもとに渇水時の流量を算出、どれだけの取水が可能となるかを判断する。
調査は町簡易水道事業の拡張と、改良事業に伴う水道施設の整備計画に基づき、簡易水道の水源として河川取水可能量の算定に使用するのが目的。
町内では西表上原、大原1・2簡易水道事業で河川から取水、波照間島と竹富島を除く各島々の水道をまかなっている。
西表島への町役場移転には水資源の確保が最重要課題となっていることから、調査結果をもとに取水可能量は大きなポイントとなる。
調査は10、11年度の流量観測を計13回実施。渇水時の流量と流域面積比率を検証するもので、流量・流速の最小値(11年8月26日)は水位計設置地点で1秒あたりの流量0.027立方メートル、流速0.076メートル、断面積は0.357平方メートルとされた。
その110メートル上流の観測地点でも流量0.026立方メートル、流速0.1メートル。断面積0.261平方メートルで、「流量観測結果は妥当と判断できる」としている。 この資料をもとに年度内にも取水可能量が算出される。
東船道課長は「昨年は干ばつがあったことから、渇水時の算定には分かりやすい結果となっているようだ。まだ基礎資料の段階でなんとも言えないが、昨年7、8月の干ばつ時にも後良川の水は枯れていない。町役場移転にも必要な調査だ」と期待する。
この結果を踏まえ、同課では新年度にも後良川取水施設の概略を検討し、概算事業費の算定。後良川水源開発の可能性を評価し、妥当だと判断した場合は15年度の工事発注に向けて作業を進める。
浄水場が建設される可能性のある後良(しいら)川は、マングローブ林が広がる河口まで、イリオモテヤマネコの重要な生息地となっています。浄水場を建設するとなれば、その工事のための重機が上流部分まで入ることになります。また、川に堰を作って取水することになるので、河口のマングローブ林の環境にも変化が生じる可能性があります。そこは、イリオモテヤマネコにとって重要な餌場でもあります。今後、ヤマネコを含む後良川の生態系に悪影響がないよう、科学的な検討と事業主体である竹富町への働きかけが必要になるでしょう。