専門家アドバイザー
ラーマン・スクマール博士 Raman Sukumar, PhD
ラーマン・スクマール博士は、アジアにおけるゾウの専門家として広く知られています。博士は南インドの大都市バンガロールに本部があるインド科学院生態科学センター長(教授)であり、アジアゾウに関する一般書、専門書も書かれています。博士はまた、国際自然保護連合・種の保存委員会(IUCN/SSC)アジアゾウ専門家グループの元委員長であり、インド野生生物トラスト(WTI)の協力団体であるアジア自然保護団体(ANCF)の理事長、インド政府によるプロジェクト・エレファントの運営委員、「インド野生生物理事会」の委員などを務められています。
スクマール博士からのメッセージ
野生のゾウは日本では見られませんが、日本の人々はずっと以前からこの動物に魅せられてきたのだろうと思います。インドのネール首相から東京上野動物園へゾウが送られたとき、皆さんの国から受けた祝福は大変なものだったとお聞きしています。
その皆さんに是非とも訴えたいことがあります。それは、象牙で作られたハンコ”hankos”を使うことがアジアとアフリカのゾウにいかに大きな影響を与えているかということに思いをめぐらせていただきたいということです。そして、自然界が未来の世代にとって不毛な世界にならないためにも、この高度に社会的で、繊細でそして賢い生きものの保全を支援していただければと思います。
川西加恵博士 Kae Kawanishi, PhD
川西加恵博士は、アメリカで野生動物学を修め、マレーシアでマレートラの研究と保全に携わられています。国際自然保護連合・種の保存委員会(IUCN/SSC)ネコ専門家グループの委員です。川西博士は、1998-2001年に、マレーシア初のサンプリング法を用いたトラの個体数調査を行ない、フロリダ大学で野生動物生態学および保全の博士号を取得しました。その後、マレーシア政府野生生物国立公園局の専門家アドバイザーを2006年まで務めました。2006-2008年には、「マレーシア・トラ国家行動計画」起草委員会の座長を務めました。また、その行動計画を実施するための関係団体のネットワークマレーシア自然保護連合(MYCAT)設立の助けともなりました。
現在は、MYCATのプログラム責任者を務めると同時に、タマンネガラ・トラプロジェクトの主任野生動物学者の任にあります。このプロジェクトは、マレー半島の2大森林地帯間に残された最後の接続部を、トラとその他の野生動物が利用できるコリドーとして確保することを目標にしています。MYCATのネットワークの活用により、政府とNGOが緊密な連携をとって目標を実現することが期待されています。
川西加恵博士からのメッセージ
人間は自然に対して、あるときは適応し、あるときは支配をおよぼしてきました。自然は常に人間の進化の一部を成してきたと言えます。今も、人間による攪乱からのがれ、触れられることのない野生の状態のままの場所が地球上にはいくつかあります。しかし、今日のアジアにはそのような野生のフロンティアはほとんど残されていません。そのようなものに縁もなく育った多くの日本人にとって、「野生」はぼんやりした概念かもしれません。しかし、日本人の祖先の信仰システムに見て取れる偉大な自然に対する敬いと畏れは、私たちの血の中に染み付いています。
トラは、野生のアジアと私たちの暮らしが依存する健全な生態系を象徴しています。野生のトラがいない世界が、私たちの世代の間にも現実のものとなるかも知れません。この時間との戦いの中で、地球に創造されたもっとも荘重で美しい動物を救うため、JTEFを支援して下さい。今日行動しなければ、明日ではもう遅すぎるかもしれません。