役員構成
■理事長 戸川久美
動物作家戸川幸夫の次女。父の動物文学の児童書へのリライト、解説などを行う。
1997年にトラ保護基金を設立。NPO法人野生生物保全論研究会理事(1999-2009.10)。
≪メッセージ≫
広い生息地を必要とするトラやゾウは、豊かな自然を守るカギとなる動物です。トラやゾウを守ることは、その地域のありとあらゆる動植物を生かすことにつながります。
また地球環境としてみると、生物多様性の保全はもちろん、CO2を吸収する彼らの生息する森を守ることは温暖化を防ぐことにもつながり、人間が豊かに生きる環境も守られることを意味します。
今日のように、狭い生息地に押し込められ人間に管理される野生動物たちは幸せでしょうか。動物たちが強いられて生きている姿が真の共存といえるでしょうか。動物たちも幸せに生きられる状態こそ共存していると言えると思います。彼らも同じ地球に生きるメンバーです。人間だけでなく彼らも野生動物らしく生きる権利があると思います。
目先のことや物的豊かさを追い求め、自分の利害ばかり考えている今の時代だからこそ、弱者や絶滅の危機にある物言わぬ動物たちの痛みを感じ、憂い、思いやる気持ちをもつことこそ心の豊かさにつながるのではないでしょうか。
「野生の世界」に入る時は、住民である野生動物たちの迷惑にならないよう、そっとおじゃまする謙虚さが必要だと、イリオモテヤマネコを発見し秘境を愛した私の父、動物文学を確立した直木賞作家の戸川幸夫がよく言っていました。
この父から教えてもらった野生の素晴らしさや野生動物に対する人間の謙虚な姿勢は1997年にトラ保護基金を立ち上げてからずっと心にとめてきたことです。長年「NPO法人野生生物保全論研究会」で学んだことも踏まえ、ここであらためて、常に動物たちの立場に立って少しでも彼らの役に立てたらと思っています。