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カジランガ国立公園、10か月間でサイが39頭減少

プラビン・カリタ(Prabin Kalita)、TNN通信 2012年10月3日

JTEFが支援している北東インド、アッサム州のカルビ・アングロン自治区、隣接するカジランガ国立公園地域では、今夏8年ぶりの大洪水に見舞われ多くの野生動物が被害に遭いました。溺死したサイも多かったのですが、洪水から逃れようと移動したサイを密猟者が容易に角目的で殺したのです。

カジランガ国立公園においてサイの殺害が一向になくならない状況を受け、アッサム州政府はインド中央捜査局(CBI: Central Bureau of Investigation)を動員して捜査を行った。州森林局によると、密猟者に関する手がかりが複数発見されているという。

グワハティ発:カジランガ国立公園では、2度にわたる洪水と密猟の増加により、サイの個体数が危機的な状況に陥っている。ユネスコの世界遺産である同公園は、10か月あまりでサイが39頭減り、その個体数は2251頭に減少した。

1月以降、11頭ものサイが密猟者によって殺害されたうえ、6月から2度アッサム州を襲った洪水により28頭が溺死している。2012年の個体数調査によると、2012年初めの時点で、カジランガ国立公園のサイの個体数は2290頭であった。

州森林局は2012年10月2日、密猟者からサイを保護するため、カジランガ国立公園に部隊を追加派遣した。11頭のサイは、2012年6月から2度にわたり同公園を襲った洪水時に角目的で殺害された。サイの体内からはAK47自動小銃の銃弾が発見され、この密猟には武装集団の関与が指摘されている。

密猟者に殺害された11頭のサイのうち、6頭は同公園内、5頭は同公園外で射殺されており、そのうち4頭は隣接したカルビ・アングロン地区で殺害されている。

アッサム州政府はインド中央捜査局(CBI: Central Bureau of Investigation)を動員して捜査を行った。州森林局によると、密猟者に関する手がかりが複数発見されているという。

同公園は洪水で水浸しとなり、サイが洪水被害の及んでいない公園外部の地域へと移動せざるをえなくなったことから、密猟者の活動が容易になっている。

アッサム州森林大臣のロッキブル・フセイン(Rockybul Hussain)氏は、「洪水後の状況でも、森林監視官は重圧の下で活動しています。公園内に閉じ込められた動物たちは、洪水が引くと公園の外に出ようとするため、密猟者に対してもろい状況にさらされます。われわれは同公園にアッサム州森林保護部隊(Assam Forest Protection Force)を50名配備して保護の水準を高めています」と、述べた。

カジランガ国立公園のサイは、同公園における保護計画が順調であることを受けて、国際自然保護連合(IUCN: International Union for Conservation of Nature)の「絶滅危惧IB類」から「絶滅危惧II類」にカテゴリーが改善された。1984年には1080頭であった同公園のサイの個体数は、1991年に1069頭、1999年に1552頭、2006年に1855頭、2009年に2000頭、そして2012年には2290頭となっている。

森林監視官により、2012年はこれまでで密猟者3名が死亡、14名が逮捕されている。また、「303自動小銃6丁」も押収された。
【翻訳協力】梅村佳美

【JTEFのコメント 2012年11月】

アジアでは、サイの角は解熱剤や強壮剤など漢方薬に利用され、根強い需要があります。 このアッサム州の洪水はJTEFの7月ニュースでもお伝えしたように8年ぶりの大洪水が2度起こりました。 密猟者は洪水をもしたたかに利用します。これまでの順調な個体数の回復にもかかわらず自然災害に続く密猟という「二次災害」によって再び激減することもありえなくありません。




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