これまでの歴史
トラ保護基金の歴史 -トラ支援(インド)
◆支援期間:1997年~継続中
初めてのインド支援は「防犯用催涙ガススプレー5本」
1997年にWPSI(インド野生生物保護協会:1994年設立。インド国内でNGOのネットワークを持ち違法取引調査で密売人逮捕に協力。国内各地で裁判を起こす。違法取引識別マニュアルなどを作成し警察へ協力)代表ベリンダ・ライト氏に催涙ガススプレー5本を手渡しました。ベリンダは自国インドのトラが密猟、密売される現場で覆面調査をしています。野生動物犯罪はドラッグ、銃と並びマフィアの3大資金源となっているので、当然危険との隣り合わせの調査です。マフィアなどにベリンダの正体が割れたとき、危険を感じて逃げるときに撒きちらすための防犯用催涙ガススプレー。インドでは高くて手に入りにくいから、と望まれました。(支援額23万円)
このときべリンダからは、インドに寄付してもらうより、まず日本国内でトラ製品が販売禁止になるよう法規制するよう訴えてほしい。買わなければ殺されないのだから、といわれました。その後、日本国内の法規制に向けて一層取り組みを強化し、規制を勝ち取りました。(→日本国内での活動 トラ保護基金)
現地パートナーであるWTI(インド野生生物トラスト:1998年設立。インド国内緊急支援。生息地確保の土地買い上げ。レンジャーへ装備支援)を通して、現場でトラを密猟者から守っている保護区レンジャーへパトロール装備を支給し始めました。「トラ保護基金」の予算にあった重要な支援先を数ある保護区の中から探します。大きい保護区は欧米の大NGOが支援しています。しかし大きい保護区だけを守ればいいというものではありません。大きい保護区の近くにある小さい保護区は、そこが安全ならば大きい保護区からトラが移動できる大事な場所です。「トラ保護基金」はWTI代表のビベック・メノン氏と協議を重ねトラの将来を見据え、最重要地域を選びました。
レンジャー装備と効果的な取締やパトロール技術についてのワークショップ開催費支援
2000年:
ナグジラ野生生物保護区がまず選ばれました。ここは中央インドのマハラシュトラ州にあり、北部には大きなカーナ・トラ保護区、ペンチ・トラ保護区、南部にはインドラバディ・トラ保護区があり、そのちょうど中央に位置し、近くにナウェガオン国立公園があります。ここが守られれば、トラが将来的に大規模な地域を移動できます。
キット+ワークショップ(レンジャー45名分)(支援額79万円)
2002年:
バングラデシュに隣接しているインド北西部ミゾラム州にあるダンパ・トラ保護区が選ばれました。ここは降雨量が多く山に囲まれた起伏に富んだ地形で人が近づきにくいところです。バングラデシュとの国境沿いのため密猟も多いのに、国境を見回る車もありません。レンジャーたちの靴さえ十分ではない状況です。
キット+ワークショップ(レンジャー45名分)(支援額87万円)
2004年:
ナグジラ野生生物保護区に隣接したナウェガオン国立公園に支援しました。ナグジラと近く、両方の保護区を守ることでトラの移動を確保できるようになるからです。
キット+ワークショップ(通常スタッフ49名+臨時スタッフ52名)(支援額81万円)
2005年:
ナグジラ野生生物保護区・ナウェガオン国立公園を視察。継続支援を決定。担当者を確定。
(支援額48万円)
2006年:
ナグジラ野生生物保護区・ナウェガオン国立公園
キット 84個+ワークショップ+生息環境調査費、担当者給料(支援額191万円)
2007年:
ナグジラ野生生物保護区・ナウェガオン国立公園
キット 74個+ワークショップ+生息環境調査費、担当者給料+監視用小屋建設費用(支援額180万円)
2008年:
ナグジラ野生生物保護区・ナウェガオン国立公園
キット 82個(常時勤務のレンジャー64名+臨時スタッフ)(支援額125万円)
密猟監視小屋完成
パトロール中に寝泊まりする森の中の小屋は電気、水道もなく、夏には48度にもなります。以前の小屋は隙間だらけで雨が吹き込んだりしましたが、この新しい高床式の監視小屋ができ、大雨で川のようになっても床が濡れることもなく、床の下を動物が通過するのを安全に監視することができるようになりました。
ワークショップ
◆内容(4日間)
まず全員で野生生物犯罪についての基礎的な問題を弁護士や保護区長から研修を受けます。次に上級のフィールドスタッフに限って野生生物保護法に関する法的な問題を考える集中講義が行われました。裁判での事例を扱う森林官以上を対象にしたこの集中講義では裁判での実際の事件の検証も行います。その後、野生生物犯罪防止のための一般講義とトレーニングが2地域で開かれ、これは森林官の下にいる野生生物犯罪防止行動を行うすべてのレンジャー(非常勤スタッフ含む)が受講しました。第1日目に理論研修。2日、3日目に5-6人のグループを作り5-10kmを歩きパトロールの実践。最終日には全員が参加しパトロールキットが配布されました。
◆効 果
さっそく違法に木材を運び出そうとしている密猟者を摘発できた。」という声も届きました。>トラ支援(国内)
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