活動紹介

トラ保護基金 ―絶滅の危機からトラを守るために―

アフリカゾウ密猟防止プロジェクト

【プロジェクトの背景】

 アフリカ大陸は、かつて暗黒大陸、未開の大陸と呼ばれたように、開発による自然破壊の手が及びにくかった地域です。そのため、今も広大な範囲に豊かな野生の生きものの世界が広がります。アフリカゾウはその象徴であり、かつてサハラ砂漠以南に広く分布していました。残念ながら、現在では分布がかなり縮小してしまいましたが、中央アフリカの熱帯林、南部アフリカと東アフリカのサバンナの一部を中心に、まだまだ広大な生息地があり、アフリカ全体で50万頭前後のアフリカゾウが生息しています。
 しかし、このアフリカゾウも、生息地が農地化、定住集落化などの脅威にさらされ続けていることに加え、おそるべき密猟の脅威にさらされ続けています。2006年8月、中央部アフリカのチャドという国にあるザクーマ国立公園で、約100頭のゾウの死体が発見されたのはその象徴です。これらのゾウは、象牙を根本から切断しやすいように頭部が切られ、潰された無惨な姿でした。この国立公園ではたった1年間で数百頭のゾウが密猟され殺されたという情報もあります。1996年にもコンゴ共和国では、熱帯林が拡がる区域でマルミミゾウ400頭の死体が発見されたことがありました。
 ケニアは3万頭のゾウが暮らす国であると同時に、アフリカの中で野生生物保全の政策をリードし続けている国です。象牙取引禁止の維持を訴え、殺して利用するのではなく、生態系の中でくらす野生動物を観光資源として利用する政策をとっています。そして、国立公園などの保護区での密猟防止パトロール、違法取引の取締りにも非常に積極的に取り組む姿勢をとっています。そのケニアにおいてさえ、象牙目的のゾウの密猟と違法な象牙取引に苦しめられ続けています。2009年2月、ケニア最大の国立公園であるツァボ・イースト国立公園では6週間の間に象牙目的で5頭のゾウが殺されたと報告されました。また、2010年だけでも違法に取引される象牙の摘発が頻発しています。

【プロジェクトの内容】

 国立公園で密猟をパトロールするセスナ機の燃料代を支援しています。
 アフリカのサバンナのように広大な区域(たとえば、ツァボ・イースト国立公園は日本の国土の3分の1近い広さ)では、空からのパトロールが効果的です。パトロール用セスナが飛んでいる間、密猟者は行動を起こすことができません。そして、セスナは地上のレンジャーとの連携も密にとり、密猟者を見つけたら、その人数、場所、武器などを無線で地上のレンジャーに知らせます。また、砂漠地帯を歩いてまわる地上のレンジャーに水などの物資を補給したり、病人が出た場合に急行することもできます。
   飛行機は1時間で120キロ飛ぶことができ、地上500メートルを見渡すことができます。その燃料代はたった40ドル、驚くほど効率的なのです。
 この支援によるパトロールは、密猟防止の要所、つまりツァボ(イースト、ウエスト)国立公園、メルー国立公園、密猟団が侵入してくるソマリアとの国境付近等、密猟防止のホットスポットで行なわれます。


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