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政策提言・調査研究

座談会

「人間と野生動物は土地をシェアできるのか?」

日時:2011年6月11日

参加者:
羽山伸一
JTEF理事、日本獣医生命科学大学野生動物教育研究機構・機構長
坂元雅行
JTEF事務局長理事、弁護士


羽山 BSでブータンをやっていますが、すごいですね。100平方キロに最低6頭以上はトラがいるんですよ。

戸川 それだけエサとなる野生動物が多いということですね。

坂元 それは、定住メスですか?

羽山 オスなども含んでいるようです。

坂元 ゾウもいますよね。

羽山 サルも何種類だったかな、かなりいますよ。ラングールなどいますね。ヒマラヤの縁がコリドーになるわけですね。

坂元 有蹄類も豊かですね。カモシカの仲間もいますし。アンテロープもいますね。

羽山 サンバージカなどがトラのエサになりますね。道がないから川沿いに生息していますね。足跡などから聞き込んでいくと、ほぼ全域でトラがいるようです。標高3500~4000メートルまで遊牧民がヤクを放牧しているのですが、そのヤクを食べるということで標高4000メートルにもトラがいるんです。

坂元 高いところにいますね。ユキヒョウもいるのでしょうか。

羽山 ユキヒョウと同じところにいるようですね。

坂元 ヤクが誘引したのでしょうね。トラは適応力が高いですから。まだブータンは人口密度がインドよりは低いですから、あつれきはインドほどではないでしょう。

羽山 家畜は相当襲われているようです。

坂元 ブータンから少し下がりますが、ヒマラヤ山脈の南側にガンジス平原が広がっていて、そこにトラ保護区があるのですが、あつれきがひどいことで有名なんです。そこは村落と農地にトラのメスが定住しているんです。サトウキビを作っているんですが、その畑の中に潜んでいて、家畜を獲物にしている。サトウキビの収穫をしていると、突然トラが飛び出してきて襲われることもあります。

羽山 日本の東北地方のクマと同じですね。

坂元 ヒョウなどは同じように村を囲んで行動圏を持ち、繁殖までしているそうです。 JTEFがプロジェクトを行っている中央インドにタドバ-アンドハリ・トラ保護区があるのですが、その近くの村でも似たような状況で、密猟されたトラの骨や毛皮が押収された時に調べると、その出所はタドバ辺りで毒殺されたトラではないかという話が出てきます。そうなるとなかなか土地を分け合うというのは難しいですね。どの辺が許容範囲になるのかというのを、WTIのスタッフでありトラの研究者でもある人に聞くと、過去の経緯にもよるけれども、年間、人が一人殺されて、家畜が10数頭殺されて、トラが報復的に1頭殺されたという程度だと、一般に緊急性は認められないことが多いのではないかと言っていました。

羽山 どういう基準なんでしょうか。

坂元 感覚的なものだと思います。でも、その話を聞いた後、そのダドバで去年のことですが、4,5人の犠牲者が出たことがあります。人食いトラではなかったのですが、自動カメラで追跡をすると襲ったのが1頭の同じトラだということがわかったので、捕獲して動物園に送られたそうです。日本と違うなと思うのは、そのトラは村人も怖がって大変だったそうですが、行政が捕獲に消極的で、トラを駆除するということには及び腰なんです。保護動物ですから。NGOが中心になって説得して捕獲をしたそうです。非常に賢くて慣れたトラだったので、大変だったそうです。

羽山 日本のクマの死者数はどうですか?

坂元 2006年が5人ですね。けがをした人が140人ちょっと。

羽山 これは、2006年が特異ということではなくて、人の世界にクマが入り込んできてしまっているということです。

坂元 異常出没と言われている年だけではなく、以前からずっと入り込みが続いているということですね。

羽山 今、院生がもっている群馬のフィールドで、1平方キロに10頭以上います。シカ並みですよ。

坂元 環境省が出しているデータでは、クマだと生息分布が25年前に比べて約1.2倍になっているといいますが、特に場所によってはもっと増えているところがあるでしょうね。

羽山 個体数でもおそらく数倍に増えているでしょう。

坂元 それは、局所的にですか?

羽山 そうです。高山帯やブナ帯といったところはそんなには増えません。やはり人里近くですね。

坂元 かつての分布を取り戻しつつあるという状況だと言えますか?

羽山 そうですね。

坂元 ツキノワグマももともと適応力は高いですからね。明らかに絶滅したところよりも増えた場所が多いですね。

羽山 都市に近いところで絶滅した地域が多いですね。しかし、里山や山間部では増えていますし、一番増えているのは西中国と東中国の間ですね。

坂元 途切れていたところのほとんどにクマが出没しているということですね。

羽山 兵庫県がつい最近データを出したのですが、個体数が大体3倍になっていますね。

坂元 鳥取、島根、兵庫の西あたりでしょうか、分布が新たに広がってきているのは。

羽山 そうですね。島根、広島、岡山あたりですね。このあたりは里山がありますし、人がどんどん減ってきていますから。

坂元 クマにとっては、広がっていくことに障害がないところということですね。

戸川 負傷者が出たり、事件になったりはしていないのですか?

羽山 ありますよ。一番問題になっているのは、イノシシが海岸線まで広がっているので、年間3万頭近く駆除するのですが、その罠にクマがかかってしまったりするのですね。それを山に戻したりするのに専従の職員を置いているところもあります。

坂元 イノシシなどは全国だと年間30万頭ぐらい捕っています。

羽山 四国では残念ながら絶滅してしまいましたからね。

坂元 高知の西側のほうですね。

羽山 ただ、シカが爆発的に増えています。がけ崩れがひどくてめちゃくちゃですね。

坂元 表土が保てないんですね。

羽山 そうです。カルスト台地ですからね。岩が集落全体に落ちてくるんですよ。表面の植生で抑えられていたんでしょうね。一番悪いのは杉林にしてしまったということですね。

坂元 四国のクマというのは、ある程度いるという実態がわかってきたのが大きいのか、ここ数年で回復してきたのでしょうか。

羽山 この程度の分布だと、わからないですね。行動域が広がっただけかもしれません。

坂元 高度成長期前ですと、データはないでしょうが、クマの分布はどのようだったでしょうか?

羽山 逆にもっと狭かったのではないでしょうか。

坂元 農村でも土地の管理が徹底していたと。

羽山 サルは昔からデータがあるのですが、サルは大正年間で絶滅寸前までいっています。戦前までで減っているのですね。回復が始まったのが昭和50年くらいです。

坂元 ゾウのことで、JTEFの専門家アドバイザーのスクマール博士の本を改めて読んでいると興味深いのですが、なぜゾウが農作物を襲うのかということでいうと、生息地が破壊されたからだとか、ゾウの移動が阻害されるからだという人が多いのです。それは、理由の一つであり、直接の理由ですが、究極的にはゾウ、あるいは他の動物も栄養価の高い食べ物を求めるのは当然であると。おいしいものであればよけいにいいし、適応性の高いゾウが、そこに行くのは当たり前です。インドでは紀元前5、6世紀ごろに、ゾウの農作物被害を表している書があるらしいですし、丘陵地帯の森に畑を作るとオスのゾウが襲ってきて、対策を取らなければならないという話は紀元前の文書に出てくるのです。現代に始まったことではなくて、もともとそういうものなのだということです。解決しようという時に、適応性の高い動物がそういうものを求めているということに対してどうしたらよいのかということになります。

羽山 やんばるのシシ垣をお見せしたことがありましたか。里山と田んぼの間に石垣が積んであって、今はジャングルになっていますが、石垣が1メートルぐらい積んであるんです。その上に平らな岩が置いてあります。これが集落のまわりに7キロに渡ってあります。

坂元 この平らな岩は、何でできているんですか?

羽山 テーブルサンゴです。これ自体が今はないでしょうね。昭和21年まで使われていたそうです。

坂元 高さはどれぐらいですか?

羽山 1メートル弱ぐらいですね。下からだと2メートル近くあります。当然リュウキュウイノシシは乗り越えられないですね。家ごとに先祖伝来の場所が決まっていて、その家が補修をする。さぼると村八分になるわけです。

戸川 なるほど。

羽山 だから、みんなきちんと管理をするんです。壊れたら海に潜ってテーブルサンゴを持ってくるところからするわけですからね。

坂元 ある程度地面も掘り下げて差し込んでいるんですか?

羽山 この下には石垣が積んであるんです。昔の人はやっていたわけですね。

坂元 これはいつごろのものですか?

羽山 今あるものは昭和21年までは補修をしていたそうです。

戸川 その後は、するところがないんですか?

羽山 集落がどんどん小さくなってしまって、野に帰ってしまったんです。

戸川 森になってしまった。

羽山 そうです。むしろ、集落の周りの農地は整備されてフェンスで囲われているんです。やんばるの農地は全域でフェンスで囲われていますね。シシ垣は、中部以西だと江戸中期からされているようです。

坂元 大陸からこういった技術が伝えられたのでしょうか?

羽山 そうですね。中国でもこういうシシ垣を見ることができます。

坂元 西表島でイノシシ猟をやっている猟師さんに話を聞くと、今やっているはねわなの方式は、台湾の方に教わったそうです。それが昭和の頃だそうです。効率よく捕っていたわけではないのですね。

羽山 やんばるは落としがほとんどですね。槍が伝わるようになってから三つ又の槍でとるようになったそうです。

坂元 そもそも罠を仕掛けるのじたいが大変ですからね。

羽山 2,3年前にアメリカの環境ジャーナリストが出したものが最近翻訳されたのですが、今起こっているオオカミの問題などの捕食者がいなくなって生態系のバランスが崩れるということは、氷河期の前から起こっているというのです。歴史的に調べると、地球上の最大の捕食者は人間だということになるのです。それは、生物として持っている捕食者としての能力が大きなインパクトを与えているということなのです。人間が捕食者であることをやめたということの反動、人間によって滅ぼされた動物による影響が相乗的に出ているというのが彼が出した結論です。

坂元 人間が野生生物世界をずっと歪めつづけているわけですが、その行く末がどこにあるのかということを彼は言っていますか?

羽山 例えば、アメリカはマンモスを復元するためにアジアゾウを導入しようなど、生態学的に失われたパーツを現存する野生動物で補おうということも考えているそうですが、果たしてそれが成功するのかということ、世界的に受け入れられるかということが問題です。当然、これ以上人間が悪い影響を与えないようにはすべきですが、人間が管理をしない地球というのは存在できないということですね。手つかず、は無理だということです。

坂元 ただ、その話も結局、野生の世界を歪めてきたことは事実だけれども、それが今影響が及んできているわけですが、だいぶ時間がたってからその影響が表れてくることがあるし、どこを目指してどう管理すべきかということが局所的には言えても、そんなに広いスケールで提示できるものでしょうか。

羽山 結局そこは、決めないという選択肢はないのです。決めて、やってみて、ダメならばやり方を変えるということですね。例えば、トキやコウノトリなどの野生復帰が社会で評価されてきていても、失われた捕食者を野生に返すという意図ではないわけです。一方で、オオカミだってシカ対策の道具としか見られていない。壊してきたのがなんなのかという原点の問い直しが重要だと思います。

坂元 生態系から消えてしまった駒をまたそこに置くというのも、考え方としてはわからないではないですが、先生が先ほどおっしゃったように、実現までのステップを考えると、もっと現実的なものがあるのではないでしょうか。シシガキもそうだったのでしょうが、今はアーバン・ディアという言葉があります。街中にシカがいるんです。イギリスで昔、アーバン・フォックスが現れ、街中にキツネがうろうろするなんてなかった、と騒ぎになったのです。感染症の問題もありますが、オオカミを放てば、何十年後に効果があるかもしれませんが、そうではなくて、少なくとも都市部に関しては、動物がそこに適応できる能力があるのはわかってきたが、いてもらっては困るものは、排除しなければならないということではないでしょうか。

羽山 現在のように面的な都市構造って歴史上ないわけですよ。東京なんて1万平方キロ近い土地に住宅が連続している。

坂元 もっと島のように孤立していたのですね。

羽山 そう。江戸時代でも都市構造を持っていたのは2、3か所でしょう。アメリカもヨーロッパもそうでしょう。ヨーロッパも城壁都市が点々としていただけだったはずです。まったく新しい都市構造と関わりを持たなくてはならない。

坂元 野生動物が棲む場所と、人間が棲む場所の間の緩衝作用がかつてないほど弱まってしまったわけですね。

羽山 かつては棲み分けが可能な集落構造だったのです。けれど、今はそれができないし、かといって人間が一方的にここは優先地域だと線を引いた残りを国立公園や保護区にしても、それでは足らないのですよ。

坂元 野生動物が都市的な居住地域にも出現することについては、都市と農村地帯の間がグラデーションのようにつながっていることが問題を難しくしていると思います。農村地帯の中でも人が管理しきれなくなってきていて、野生生物の対策もとれないところで、農業経営上もあまり未来のないところは思い切って捨てて、ただ、捨てない部分に関しては、集中的な管理ができるようにすることかな、と思うのですが、羽山先生が言われたように、いわば都市と農村地帯の中間的なところで何をすればよいのかということが難しいなと思いました。

羽山 今、学際的なプロジェクトで日本の農林水産業の再生というのがいろんな分野でされていますが、宮本憲一先生によると、日本にはもはや農村という概念は存在しないという。かつては都市対農村、中央対地方という構図でしたが、今は都市と農村の境目がなくなっています。一体に考えなくてはならなくなってきています。東日本大震災でも、東日本が被害を受けると、日本の経済が止まっちゃうでしょう。だから、こういう時代は単に立地でここにこういう管理が必要だというのではなく、システムとして考えなければならない。そうすると、システムとしてどうして土地利用するのかということをですね。

坂元 法律のことで言うと、都市計画法制と農業法制が切れてしまっているというのが致命的に響いてきているんです。

羽山 かなり長期的に捉え直さなければならないとうのは事実で、今回の震災というのは、やれるきっかけになるかもしれない。

坂元 復興の在り方として、変な復興のしかたをしてしまって、それが今後のスタンダードになってしまうのが怖いですね。被災者がたくさんいるので、その人たちの目の前のニーズを横に置いた復興のしかたというのは難しいでしょう。本当は先のことも見なければならないのですが。

羽山 よく言われることですが、復旧と復興は違うんです。やはり復興には10年単位で時間がかかるでしょう。

坂元 もともと人々の経済生活が厳しくなっていたところで、単純に復旧を目指すのか、そもそも震災発生当時もそれでよかったのか、と考えてオルタナティブなほうに行くのか、という問題がありますね。

羽山 とりあえず、元にいた場所で生きていくしかないというところでしょうね。少し落ち着いてから、みんなが未来のことを考えればいいなと僕は思いますが。

坂元 他の過疎集落で、あと5年、10年というところがたくさんあるじゃないですか。そこについて、農業政策上の補助金とか多少のことはやっていますが、そういうところで野生鳥獣の被害なども出てきていて、そこをどうするのかという展望が今のところないですよね。全国スタンダードで何か提示できるのか、しかし、局所的な対策に終始していてもきりがないですね。都市サイドで動きを作るというのはどうですか?

羽山 両方だと思いますよ。特に農村だと集落単位です。集落にも寿命があるので、その地域の人たちが最後にここで死にたいというのであれば、それは主張する権利があります。それがあと20年といったときに、20年耐えられるようにするのが政策ですよね。そして、20年、30年後に地域がどうなるのか。それを一つ一つカルテを作っていけば見えるはずです。そこで未来図を作らなければなりません。

坂元 土地利用基本計画がありますが、それがだいたい10年後、20年後の図を一応描いているんです。その描き方が、国立公園などの自然地域と、農業地域とレクリエーション地域と居住地域といった昔ながらの描き方しかしていないんです。それでは意味がなくて、描きにくいのかもしれないけれど、今の人口減少や集落の荒廃のトレンドからすると、30年後にはこうなっているから、この部分については利用をこうするというように描いていかないといけないですね。

羽山 今、通っている鹿児島のある集落は、モニタリング専用になっているのですが、最後に残された多様性の維持されている地域です。「千と千尋の神隠し」みたいな集落でね、森を抜けると150戸ぐらいの集落が広がっている。けれど、ほとんどが70歳代の集落で、10年後にはほぼ消滅していますよ。地域の人たちは未来が描けないでなんとかしてくれというし、都市から移り住んできた人たちは、その環境を維持するためになんとかしたいという思いもある。そうなったときに、その地域は20年後はどうでもいいとするか、引き継ぎたいと思うのか、それは自分たちではできないですから。そういうコミュニケーションをやって決めないと、税金の無駄遣いになりますよ。

坂元 その辺も政策が必要なのですね。

羽山 トップダウンの上から目線だと、さっき言ったようなことになるのですが、一つ一つの集落ごとにやっていって、集めたときに、20、30年後にどんな絵が描けるのかをやった時に初めてグランドデザインと言えると思います。ボトムアップ型のグランドデザインが必要になります。

坂元 どんなに素晴らしい案を見せられても、「自分はここで死にたい」という人をどうしようもできませんからね。

羽山 それだったら、巨大な開発費なんて使わないで実現できると思います。

坂元 今、日本が直面しているような状況と似ている国はありますか?都市化が進んで同時に農村が荒廃し、野生生物と人間の居住域の境目がなくなってきているというような状況の。

羽山 日本はなんだかんだ言っても山があるから、限度があるんですよね。ぜったいに3割以上は開発できないですから。インドやヨーロッパのように大陸的な開発はできないですから。

坂元 言葉は好きではないですが、野生動物をある程度のところで人間から見れば封じ込めるということでしょうか。一部は共存するんだけれども、緩衝帯では。その線の引き方がとにかく難しいということですね。

羽山 逆に言うと、日本はハビタットにできる土地は広いんですよ。国土の7割ですから。その中身をどうするかです。その一番住みやすいところをスギ、ヒノキにしてしまったわけですから。そこをもう少し住めるようにしてやれば、絶滅は防げると思います。同所的に暮らせる動物と暮らせない動物がいるというところから物事を考えないと。

坂元 大型の哺乳類で言うと、今の人間の生活のしかたと、同所的に暮らせる動物はいないですね。中型だったら…。

羽山 日本では極端に小さくなりますからね。キツネでもせいぜい5キロでしょう。

坂元 キツネ、タヌキはできますね。外来種の問題がまた問題を複雑にしますね。

羽山 保健所の職員とか、市町村でハクビシン、アライグマ対策をしていますが、深刻ですよ。これでもし狂犬病が蔓延したら大変ですよ。

坂元 ハクビシンはここ数年で急激に被害が増えていますね。

羽山 特に都市部でですね。

坂元 10年前ではなくてどうして今なんですか、と聞きたくなるんですが。

羽山 保健所の職員とか、市町村でハクビシン、アライグマ対策をしていますが、深刻ですよ。これでもし狂犬病が蔓延したら大変ですよ。

坂元 四国のクマというのは、ある程度いるという実態がわかってきたのが大きいのか、ここ数年で回復してきたのでしょうか。

羽山 それは、人間が気づかない、気づけないからです。動物はこうやって増えていきますから。この段階ではわからないですね。

坂元 L字型ですね。

羽山 この場合も気づかないのです。

戸川 気がついたらいなくなっているというパターンですね。

羽山 タイムラグが10~15年ありますからね。

坂元 細心の注意を払わなければいけないということですね。

羽山 あの時に都庁の鳥獣の担当者がたまたま動物園出身の人だったのですが、その人が自分の足で歩いて聞き取りをやったのですが、その段階で23区全部にハクビシンが生息していることがわかりました。ただ、気づいている人は当時ほとんどいなくて、その時から徐々に増えていって、いまでは駆除が商売になるぐらいになっていますね。東京都は特定外来生物ではないので、何もしませんというスタンスですよ。

話も尽きないのですが、このあたりで。
(終)

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